先日、出張中に若い同僚のジェイソンからメールが届きました。
“Do you agree?”
「どう思う?」
iPhone 画面をスクロールして行くと、同僚リチャードから彼に送られたメールが現れました。
「滅茶苦茶読みにくいよ。シンスケのトレーニングから何も学ばなかったの?」
さらにスクロールを進めたところ、添付書類を発見。ジェイソンがクライアント向けに書いたプロポーザル原稿でした。彼は複数のチームメンバーに意見を求め、これに対してリチャードがネガティブなコメントを書き寄越した、というわけ。
リチャードが持ち出した「シンスケのトレーニング」とは、前日のランチタイムに実施したもので、タイトルは「ヴィジュアル・コミュニケーションの技術」。30人近くの同僚たちを集め、効果的なビジネス文書の作り方を教えたのです。文書の構成技術、フォントの選び方、色が伝えるメッセージとその上手な使い方、見やすい表の作り方など、実例を交えて45分間プレゼン。大好評を頂きました。
さて、ジェイソンの原稿には繊細で女性的なタイプフェイスが使われていて、一見洗練された文書です。しかしこうしてページ一杯に拡がった流麗な文字はやや高慢な印象を作り出し、読み手の神経に障ります。それに数字の8や0の中心が何故か下がり気味にデザインされていて、大事な情報がすんなり頭に入って来ないのですね。
これらの点を指摘し、タイプフェイスを変えた方がいいんじゃないかというアドバイスのメールを送りました。するとジェイソンが、こう返信して来たのです。
“Darn it! Ok, thank you sir…”
「Darn it」は「だあね」と「だるね」の中間くらいの発音で、昔、別の同僚エリカから、 “Damn
it!”を柔らかくした表現だと説明されました。
この “Damn it!” (「ダメッ」と発音)は、ドラマ「24」のジャック・バウアーが多用していたセリフ。吹き替えでは「くそ!」になってました。これが「Darn it!」に転化すると意味はどの程度変容するのか?いくら現代っ子のジェイソンだって、人からアドバイスを受けておいて「くそ!」とは返さないと思ったのです。でもこのニュアンスを確認するチャンスが無いまま時が過ぎました。
今週、ランチタイムにオフィスの社員をほぼ全員集めてのミーティングがありました。来月に迫った引っ越しに関する最新情報を総務のヘザーが説明する、という趣旨。現在、同僚の多くはドア付の個室を与えられているのですが、全員平等にオープンオフィスへ移ります。隣接するデスクとの間の隔壁の高さは30センチほどで、プライバシーはほぼゼロ。ヘザーが冗談めかしてこう言います。
“No more Facebook. Everybody is going to watch your screen.”
「フェイスブックはもう出来ないわよ。みんなに見られちゃうからね。」
すると何人かの女性社員が、笑いながら一斉にこう反応したのです。
“Darn it!”
これでようやく、「だあね!」のニュアンスがつかめました。「あ~あ!」とか「ちぇっ!」ですね。
そんなわけで、ジェイソンの返信はこう訳せると思います。
“Darn it! Ok, thank you sir…”
「ちぇっ!了解。感謝です…。」
0 件のコメント:
コメントを投稿