2014年11月14日金曜日

Were your ears ringing? 耳鳴りしてた?

先週金曜のランチタイムに、職場の休憩室で携帯が鳴りました。iPhone画面を見ると、オレンジ支社のヴィヴィアンから。ちょうど温まった弁当を電子レンジから取り出しつつ電話に出たところ、

「今、大丈夫?リチャードも一緒なんだけど、話せる?」

リチャードとは、南カリフォルニア建築部門のトップ。副社長です。

「いいよ。何?」

するとリチャードが、いきなり本題に入ります。あるPMを今日付けでクビにした。その人物が担当していた7件ほどのプロジェクトの面倒を見てくれないか?

「ええっ?」

私は既に、この部門で大規模プロジェクト二件をサポートしており、さらにはサンディエゴ空港のプロジェクトも三つ担当しています。長時間残業と休日出勤が恒常化して来ていて、長いこと絶縁状態にあった腰痛とも久しぶりによりを戻したところ。数年ぶりに出現した下唇の口内炎を噛んで出血もしました。身体が悲鳴を上げ始めていることは明らかで、心配の声が妻子から上がっています。ここで新たに7件も引き受けて良いものか?

「私の多忙さを承知の上での依頼なんですよね。ということは、他に候補者がいない、という状況だと推察しますが。」

「その通りなんだ。なんとか頼めないかな。」

「分かりました。成果のクオリティは保証出来ませんが、それでも良ければベストを尽くしますよ。」

「良かった。有難う!よろしく頼む!」

そんなわけで、既に「大車輪」状態を続けていたところへ、伸膝宙返り二回半ひねりも挿入するような事態になりました。現在、四つのオフィスに私の席が設けられ、各所に出没しては仕事をこなしています。

昨日もダウンタウン支社でひとつ仕事を終わらせて、大急ぎでメイン・オフィスに戻ったところ、同僚リチャード(副社長とは別人)がやって来てこう尋ねました。

“Were your ears ringing?”
「耳鳴りしてた?」

はぁ?耳鳴り?なんのこっちゃ?

「今さっき、マリアと一緒にサンドイッチ屋まで歩きながらシンスケの話をしてたんだよ。あちこち飛び回って大忙しだってね。」

「うん、滅茶苦茶忙しいよ。でも楽しいんだな、これが。君はどう?」

「僕もかなり忙しいけど、なんとかやってるよ。」

「最近、誰も彼もが多忙だね。」

「あのさ、皆に頼りにされるのはいいことだけど、どこかできっぱり断ることも覚えないと、そのうち手が付けられないくらいの仕事量を抱えて機能停止に陥るよ。」

う~ん、これは耳が痛い。いい友達だなあ。

「確かにそうだね。有難う。アドバイス、しかと受け止めたよ。」

リチャードの背中を見送った後、さっそく仕事をバッサバッサと片付けます。しかし突然、彼の口にしたフレーズが耳に蘇ります。Ears ringing(耳鳴り)?

「あのさ、さっき何て言ってたの?耳鳴りとか何とかいうフレーズを使ってたでしょ。」

彼のオフィスを訪ねて解説を求める私。

「ああ、あれはね、誰かの噂をすると、対象になった人の耳が鳴る、というフレーズだよ。」

「え?なんで?噂と耳鳴りとがどう繋がるの?」

「それは分かんないなあ。ただそう言うんだよ。」

ふ~ん、分からないのか。

「日本ではね、噂の対象になった人に、さっきくしゃみしてなかった?って聞く習慣があるよ。」

と私。

「え?なんで?どうしてくしゃみ?」

と驚くリチャード。

「う~ん、なんでだろ?それは分からないや。」


語源を調べて教えてあげようという気力が、二人とも全く湧かないのでした。いか~ん!

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