ちょっとした会議、特に非公式の社内プレゼンなどでは、出席者が冗談交じりの質問やコメントをじゃんじゃんぶち込みます。アメリカで働き始めて12年、未だにこういう場面で活躍できずにいる私。トレーニングや正式な会議ではほぼ不自由なく発言出来るようになりましたが、語意の豊富さとクリエイティビティ、それにほんの少しの度胸に支えられた「気の利いた一言」を捻り出すのは、私にとってはまだまだハードルの高い技。もしも激しくスベったらどうしよう、という恐怖心が先に立ってしまうのですね。人によっては、他の人と声が被って発言出来なかった場合でも、ジョークを披露するまでくじけずに何度もトライします。たとえそれが「ややうけ」レベルの作品だとしても。すごいガッツ。
今日の夕方、生物環境保護の専門家であるエレンとアンドリューが、ハイウェイを横断しようとして轢死する動物たち(Road Kill)に関する調査結果を同僚たちに向けてプレゼンしました。動物が安全にハイウェイを横断出来るよう作られた地下トンネルが実際にどれだけ成果を上げているか、の確認調査です。モーション・センサー付きの赤外線カメラを数台設置し、トンネルの入口と出口でカシャッ!
結果、動物の種類によってその効果に差があることが分かったそうです。ボブキャットは躊躇なくトンネルを通るが、コヨーテは非常に用心深く、入り口付近を行ったり来たり。
こうしたプレゼンの合間に、聴衆は絶え間なく茶々を入れます。
「ハイウェイを調査してたら自分が車にはねられちゃったりして。」
「見つけた動物の死骸はどうやって料理したの?」
ひとつひとつはなんてことないジョークなのですが、皆タイミングが絶妙なのです。
このテーマに関する情報を集めたウェブサイトをスクリーンに映した時も、
「レシピのページに飛ぶリンクはどこ?」
と誰かが素早く突っ込みます。
プレゼンの中身は勿論のこと、私は同僚たちの創造的な参加姿勢にすっかり感心してしまい、自分のような英語学習者が出る幕じゃないな、と早々に参入を諦めてしまいました。
同僚ダグラスが、こんな話をシェアします。
「そう言えばこないだカナダへ出張した時、動物用に作られた横断橋を見たよ。トンネルじゃなく。ムースを対象にしてるんだって。」
するとプレゼンターのエレンが、
「最近になって、アメリカでもビッグホーンシープ用の横断橋が出来たのよ。国内初の試みだって。」
と答えます。ビッグホーンシープとは、カリフォルニアの砂漠地帯に出没する、巨大な角を備えた羊です。ここでアンドリューが、
「ビッグホーンは絶対トンネルを通らないんだ。」
と説明します。なんで?と私が尋ねると、エレンが、
「弱い動物で、いつも天敵の攻撃にさらされてるの。飛びぬけて用心深いから、暗くて狭い場所になんか入っていかないのよ。」
彼女が答えるのと同時に、私の左隣にいたトレイシーが何か発言し、これに群集がどっと沸きました。急いで彼女に何を言ったのか尋ねます。するとトレイシーが、
“Because they are so sheepish.”
「とってもシーピッシュだから。」
と悪戯っぽく笑いました。シーピッシュ(恥ずかしがり屋)とシープ(羊)をかけたダジャレですね。
う~ん、うまい!
咄嗟に気の利いたコメントをブチ込みまくる、ってのの究極版がロッキーホラーショーなのかねぇ。。。あの場合は事前に考え抜いてのネタだから別モノかな?
返信削除ロッキーホラーはやっぱり作り込んであるからね。ポイントは、「ややウケ」レベルでも怖じずにポンポン投げ込むお気楽さなんだよね。英会話学校じゃ習えないテクニックだと思います。
返信削除日本人にイメージしやすいのはデーブスペクターかな?
返信削除おお!それだ!彼を置いて他にいないね。ありがと。でも、そうなってみると、不思議に羨ましくなくなるね。別にあんな風にはならなくてもいいかな、と。
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