昨日の夕方、若い同僚のジェイソンが私のオフィスに顔を出したので、
「どうしたの?日中姿を見なかったけど。」
と尋ねました。
「ロスの本社で、メンター(Mentor)プログラムに出席してたんだ。」
「え?何それ?」
若い社員がベテラン社員に会い、プロとしての心構えとかキャリア形成に関するアドバイスなどを頂く機会を与えよう、という目的で始まった試みだとのこと。うちの会社がそんなことをしてるなんて初耳でした。
「会うって言ってもテレビ会議で話を聞くだけだし、こっちの出席者は8人いるから、個別に相談することは出来ないんだ。」
私の元大ボスのジョエルも、そのベテラン陣に名を連ねていたらしい。
「こういうのはさ、本来あんまり大げさに仕込むものじゃないと思うんだよね。ベイカーズフィールド支社にいた頃は、毎日のようにベテランと話す機会があったから、無意識に色々吸収出来てたもん。ま、やらないよりはましだけど、そもそもこういうプログラムの必要性を感じること自体がヤバいんじゃないかな。」
とジェイソン。会社がギリギリまで人減らしを続けた結果、社員は毎日忙殺されていて、同僚と世間話をする時間もありません。わざわざこうして時間と場所を確保しないと、先輩社員の話を聞くチャンスも無いなんて、確かにおかしな話です。
「参加者の中に、異常にハイな奴がいてさあ。」
とジェイソン。
「うちの会社は素晴らしい、こんなすごいプログラムを提供してくれるなんて本当に有りがたい、なんてことを臆面もなく言うんだよ。最後に何か、今回の企画に対する苦言のようなものはありますか、みたいな質問をされた時だって、課題があるとすれば、今日ここで自分が受けた恩をどういう形でお返しすれば良いか分からないということです、なんて言いやがるんだぜ。」
「うわあ、それは鬱陶しいね。」
「そこまで行くと、Disingenuous(不誠実)でしょ。Butt Kisser とかBrown
Noserって表現知ってる?まさにあの男のためにあるような言葉だね。」
「Butt Kisser は知ってるよ。」
人のお尻(butt)にキスする人、つまりおべっか使いですね。
「Brown Noser は初耳だな。どういう意味?」
文字通り訳せば、「茶色い(brown)鼻の人(noser)」です。
「同じ意味だよ。」
「でも、なんで鼻が茶色いとおべっか使いになるの?」
「う~ん、それは分からないなあ。」
ジェイソンが言い終わらぬうちに、私のコンピュータ画面に検索結果が出ました。
「人のお尻にキスをすると、うんこがついて鼻が茶色くなるというのが語源」
とあります。
「ええ?そうだったの?知らなかった!」
仰天してから激しく笑うジェイソン。
誰かから理不尽な要求を受けた時などに、
“Kiss my ass!"
と乱暴に対応する場面を映画で見た記憶があります。文字通り訳せば、「俺のケツにキスしろ」ですが、意味は「ふざけんな!」とか「嫌なこった!」ですね。他人の尻にキスなんて普通は誰もしたがらないという前提で考えれば、このセリフの攻撃力は何となく理解できます。Ass Kisser
とかButt Kisserというのは、プライドのある人なら絶対やらないようなことまでして他人に取り入る人間を指すのでしょう。
この「尻にキスする」表現、過去に何度も見聞きして来ました。実は今日までずっと、お尻の「ほっぺた」部分にキスするイメージを抱いていたので、僕はそんなに抵抗ないけどないなあ、とこっそり思ってたんです。相手によるじゃないか、と。でも、このBrown
Noser の語源を知った途端にハードルが跳ね上がりました。唇は、お尻の中心深くに向かってたのね…。
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