2013年10月15日火曜日

女性がくしゃみを連発したら

カラダの芯が冷えてしょうがないので、昨日は上着のチャックを顎のところまで上げて仕事してました。くしゃみをひとつしたところ、ちょうど背後を通りかかった同僚のジェシカが、

“Bless you!”

と声をかけてくれました。

アメリカでは、誰かがくしゃみをすると「ブレス・ユー」と合いの手を入れる習慣があります。先日、会議中にある同僚が激しくくしゃみを連発した際、最初はほとんど全員が一斉に「ブレス・ユー」と返していたのに、4回目くらいから誰も反応しなくなりました。このことがちょっとひっかかっていたので、同僚ステヴに質問してみました。

「くしゃみした人にブレス・ユーって言ってあげる習慣は知ってるんだけど、アレルギーなんかで連発する人にもいちいち付き合ってあげるべき?ひどい人は20回くらい平気でやっちゃうからね。合いの手入れる方もあまり続くと辛いんじゃない?」

「俺は一回でやめとくね。そんなもん付き合ってらんないよ。大体、なんでそんなことをするかの起源も曖昧だしね。」

くしゃみをすると胸に小さな扉が開いて、そこへ悪魔が侵入を試みる。周りの人が「ブレス・ユー」と唱えると扉が閉まる。くしゃみをした本人は隣人の助けによって救われる。そういう言い伝えが元だとステヴは解釈しているそうです。

「友達や家族への気遣いとして言ってあげる人は多いし、俺も言うよ。全くの他人に対して言うかどうかは判断の分かれるところだね。」

ここで彼が、突然思い出し笑いをします。

1992年の映画に「シングルズ」という恋愛映画があり、その中のエピソードにこの「ブレス・ユー」が登場するのだそうです。「完璧な彼氏」を見つけようとさんざん奮闘するヒロインが、最終的には自分がくしゃみした時「ブレス・ユー」を言ってくれた普通の男性を好きになる、というオチ。これがアメリカ女性に、「ブレス・ユーを言ってくれる男性は真のナイスガイだ」という、歪んだ常識を植え込んでしまった。

「というのが、俺の唱えてる説ね。」

とステヴ。

「じゃあさ、同僚の女性がくしゃみした時にブレス・ユーを言ってあげないと、いやな奴だと思われちゃうわけ?」

と私が尋ねると、

「まあ、残念ながらそういう危険性はあるね。」

と、うんざりしたような表情になります。

「こないだシェリル(ステヴの隣のキュービクルにいる同僚)が風邪ひいてくしゃみを十回以上連発した時、俺が何て言ったと思う?」

「え?もしかして毎回ブレス・ユーって言ってあげたの?」

と驚く私。彼は一瞬怒ったような表情になってから、こう小さく叫びました。

“Stop sneezing!”
「くしゃみ止めろよ!」


全然ナイスじゃないじゃん。

0 件のコメント:

コメントを投稿