2013年5月27日月曜日

Pun intended. 一応シャレのつもりなんだけど。

二週間前のこと。11歳の息子が毎週土曜に通っている日本語補習校で、高校生を対象に特別講義をしました。これは、ある親御さんの音頭とりで行われている「理科クラス」という課外活動で、理科系科目に対する興味や熱意を失いかけている若者達にこの分野の面白さを伝えよう、という趣旨で始まったもの。「理系」というのはどうもカタいイメージがあるようで、これがややもすると「ダサい」領域にまとめられてしまう。いやいや、そんなことはないんだぞ、理系の仕事ってクールなんだぜ、ということを伝えたい。そんな気持ちから、講師の依頼を二つ返事で引き受けた私。

今回私が話したのは、「土木工学の魅力」というテーマ。日本で14年間携わったニュータウン開発の仕事について、実例を交えて熱く語りました。来月も第二回をやるよう依頼があり、今度は渡米して携わった最初の仕事の話をしようと考えています。テーマは「高速道路プロジェクトの舞台裏」。一体どんな人たちがどんな専門知識を活かして高速道路を作ったのか。その辺に焦点を当てて行こうと思うのですが、もう10年以上も前の話なので、記憶が定かでない。私自身が本当に面白いと思っているのは、プロジェクト・マネジメントの裏話なのですが、今回はお題が「理科」なので、PM話は使えない。悩む私に妻が、
「当時のメンバーにインタビューしてみたら?」

というアイディアをくれました。幸運にも、当時のプロジェクト・チームの生き残り(大半が既に転職済み)が同じオフィスに4人ほどいます。彼らに話を聞いてみることに決めました。その翌朝、4人のうちの一人、橋梁設計のエキスパートであるリッチが私の部屋を訪ねて来ました。
「昨日の晩、オットーとピートと飯食ったんだ。二人とも元気だったよ。」

こっちから尋ねる前に、高速道路プロジェクトに携わった同志達の消息を伝えてくれました。
「すごい偶然だねえ。ちょうど当時のことを聞こうと思ってたところなんだよ。」

私はリッチに「理科クラス」の話をし、彼にインタビューしようとしていたのだと言いました。リッチはその場に立ったまま、自分の経歴や仕事の内容について、淡々と語ってくれました。特大サイズの銀縁メガネは、レンズが外からの光を反射してしまい、彼の目の表情はほとんど見えません。あらためて観察すると、髪型も服装も地味で、いかにも「理科系」な外見のリッチ。そんな彼が何か言った後、急に頬を赤らめて、
“Pun intended.”(パン・インテンディド)

と照れ顔になりました。Pun(洒落)intended(つもりなんだ)、つまり「シャレのつもりなんだけど」と補足したわけです。え?なに?何て言ったの?急いで記憶を巻き戻してみたところ、どうやら彼は、“I bent over backwards.”(一生懸命頑張った)というイディオムと、橋脚を意味する “bent” をかけて洒落を言ったらしい。
あらら。

理系人間のイメージアップを目指していた私ですが、いきなり出鼻をくじかれました。

 

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