2013年5月10日金曜日

Insurmountable インサマウンタボー!

先日、「簡素化委員会」の電話会議第四弾がありました。この会議、支社長クラスのメンバーがひしめき合っていて、私は中でも一番下っ端です。一回目が終了した時、久しぶりに「ちょいとへこんでいる」自分に気づきました。参加者は全員疑いも無く知的で、組織内での影響力も大きい人たちです。議論に一秒でも隙間が空くと絶妙なタイミングで誰かが飛び込んで来て、含蓄のある話をします。洗練された語彙を巧みに使って。私も何か言おうと頭の中で構成を練るのですが、考えをまとめる間もなく、誰かが映画のセリフのようにカッコいい文章をぶち込んで来るんです。結局、初回は一度も発言出来ずに終了しました。疲労感だけ残して。

語学というのは、エレベーターの無い高層ビルのようなもので、階段を上がっても上がっても、最高の景色を眺められるようになるまでにはまだまだ先があるのですね。
さて、第二回、第三回の会議でもほとんど発言のチャンスを迎えることなく、いよいよ最終回。気がつけば、多忙な重鎮達の出席率はガタ落ちしていて、参加者は司会者のビルを含めて5人のみでした。こうなると恐怖心も薄れます。ビルに思い切って尋ねてみました。

「前々回の会議で、PMの仕事をフローチャートにしてみる、というアイディアがありましたよね。その後、作業に進展ありましたか?」

これは、PMの仕事があまりにも複雑で量が多いため、「見える化」すべきじゃないか、という意見から導き出された案。ビルは、自分の部下たちを使ってこの課題に取り組む、と宣言していたのです。
「こないだほぼ一日かけて作業を試みたよ。それで分かったんだ。これはインサマウンタボーな任務だってね。」

出たよ、またもや難解な単語。いんさまうんたぼー?
残響を辿ってスペルを推理し、暫くネット検索したところ、正解が見つかりました。

Insurmountable
In (否定) sur (超える) mount (登る) able (出来る)

つまり、「乗り越え難い」とか「極めて困難な」という意味ですね。こんな大仰な単語をさりげなく出されると、発言する勇気が萎えます。ネイティブ・スピーカーの境地に到達しようなんて、インサマウンタボーな挑戦なのだなあ、とあらためて悟る私。
後日、同僚ディックにその時の「へこんだ」心境を告白したところ、少し笑ってこうコメントしました。

「小難しい物の言い方をして周りに自分の知性をアピール出来たとしても、言いたい事が相手に伝わってなきゃ意味ないよ。俺もよくやっちゃって後で反省するんだ。シンプルな言葉で表現出来るなら、それに越したことは無い。シンスケは、言う必要の無いことは口にしないタイプだろ。それでいいじゃないか。」
なんてナイスなヤツなんだ、ディック!

ちょっとじわっと来ました

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