先月に引き続き、12月も上旬二週間はロスの本社にべったり出張。全米各地のオフィスから派遣された約30名の社員たちと会議室に缶詰になり、来年全社で使用が開始される新PMソフトの使用テストに明け暮れています。
開発チームの中心メンバーで、ボストン支社から来ているクリスティーナが朝一番、会議室に顔を出しました。そして作業に励む男性陣(ボブとジムと私)を訪ね、開口一番こう言いました。
“You guys look all bright-eyed and bushy-tailed!”
「みんな目がキラキラ、尻尾はフサフサね!」
はあ?なんだ今の挨拶は?
一旦作業を休止してネットで調べたところ、どうやらこれは、リスなどの生き生きとした様子が元になっていて、「精力が漲っている」状態を表しているらしいことが分かりました。クリスティーナの言いたかったのは、こういうことだと思います。
“You guys look all bright-eyed and bushy-tailed!”
「みんな元気はつらつね!」
イディオム・マニアの彼女は、こんな風にさりげなく慣用句を出して来るのです。昨日も会議中、
“This is open kimono!”
「これはオープン・着物なのよ!」
と発言。今回のPMツール開発は、プロジェクト関連情報を社内で広く共有することが目標のひとつである、という文脈での発言だったので、意味は何となく分かりました。着物を脱ぐ、つまり「裸をさらす」、要は「情報を包み隠さない」という意味ですね。「着物」という日本語が英単語として使われていることに(アクセントは「モ」についてますが)、まずビックリ。そしてどう考えてもそこそこエロい表現を、女性がビジネスの現場でさらりと使ったことで、更にビックリしました。
アリゾナから来たカートという男に、
「ねえ、今のイディオム知ってた?」
と尋ねたところ、一度も聞いたことない、との返事。
「性的な含みがありそうなイディオムじゃない?あんな言い方、普通にしていいのかな?」
と聞くと、
「分かんないけど、女性が使う分には問題無いんじゃない?」
と笑うカート。
そこのところをちょっと確認しておきたいな、とランチタイムにクリスティーナを捕まえます。
「誰が使ったって問題ないわよ。だって着物って女性だけが着るものじゃないでしょ。」
「ま、そりゃそうだけど。」
胸の前で両手を素早く交差させた後、着物の前をがばっとはだけるジェスチャーをして、
「何も隠してませんよ、って感じがすごく良く分かる表現じゃない?」
と屈託なく微笑むクリスティーナ。そしてそのまま「全身丸見え」の態勢を保ちつつ、会議や交渉で忌憚のない意見交換を促したい場合に使えるのだ、などと丁寧に解説してくれました。なるほどなるほど、と相槌を打ちつつも、何となく目をそらしてしまう私。
この表現、中年男性が若い女性相手に使うと、思わぬ怪我をしそうです。
ナゼにガウンではなくキモノなのか?
返信削除オイラのイメージでは欧米の人がキモノ、キモノと喜んでいる風景では普通の洋服の上にキモノを羽織っているイメージがあるね。ガウンだったらセクハラ表現になるんじゃないのかなぁ・・・
一説によると、80年代のアメリカで日本企業がバンバン進出していた頃に出来た言い回しだとのこと。でも、やっぱり謎だよね~。
返信削除なるほど。オイラの推察では
返信削除「日本人っていつもニコニコして愛想がイイけど、実際何考えているか判らないよね。重要な話を詰めていかなきゃいけない時には、我々アメリカ人みたいにちゃんと本音を聞かせてくれなかったら困るんだよなー。。。」
みたいなシュチュエーションの時に、東洋の神秘のベールを剥いで本心をさらしてくれヨ、的な意味合いで【キモノ】が使われているんじゃないのカナ?バブル期の [ジャパン・アズ・No.1] は細かな文化にまで影響を及ぼしているんだね。
ちなみに、同時期には【東洋の神秘】ザ・グレート・カブキが全米で一世を風靡していた頃だね。生身での水芸がスゴいんだわ(笑
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B6%E3%83%BB%E3%82%B0%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%BB%E3%82%AB%E3%83%96%E3%82%AD
http://www.nicozon.net/watch/sm3848452
なるほどね。深い洞察有難う。本当のところ、どう解釈したらいいのか僕にはよく分からないや。
削除それにしても、グレート・カブキについて教えてくれて有難う。自分の意志で額の血の噴き出し方を調整できるというのは知らなかった。
試合では決して技を多用せず「間」で勝負するレスラーだった。
し、渋いじゃないか…。