先週は、モンタナとユタへ3か月ぶりの出張でした。今回も、プロジェクトマネジメント・ツールを使った財務管理のトレーニングが目的。元大ボスのジョエルに予算を貰ってのドサ回りです。実はこういう出張、私にとってまたとない社内営業のチャンスなんです。プロジェクト・コントロールのサービスをよその支社に売り込み、うちのグループの人間をあちこちのプロジェクトに食い込ませる。この繰り返しでチームを拡大していくのが、「シンスケの野望」なのです。
トレーニングを通して、プロジェクトを成功に導くためにはプロジェクト・コントロールのノウハウが不可欠であることをPM達に理解してもらう。その上で、うちのチームのサービスを紹介し、それとなく売り込む。これで一丁上がり!と行きたいところですが、現実はそう単純じゃありません。
PM達は限られた予算の中でプロジェクトを進めているので、よそ者をチームに加えることはコストの増加に繋がると感じるのです。それでも費用対効果を考えればお買い得ですよ、というのが私の売り口上なのですが、彼らの抱く抵抗感も理解できます。無料トレーニングでひきつけておいて、結局は売り込みかよ!と嫌悪感を持たれるのも嫌なので、
「これはあくまでもオプションですが、私のチームがお役に立てますよ。何百というPMが、うちのサービスを使ってストレス無しのプロジェクト運営をしています。」
くらいのやんわりした宣伝にとどめています。
今回は、最初にトレーニングしたスティーブという中堅PMから、
「実は前回から頼もうと考えていたんだ。是非頼むよ。」
と、いきなり熱烈歓迎の発言が飛び出しました。クールに対応しつつも、心の中でガッツポーズをとる私。
次に、シェリーという臨月間近のPMに一時間トレーニングした後、静かに売り口上を述べました。間もなく二か月間のMaternity
Leave (出産休暇)に入るという彼女、
「シカゴにいるマーガレットに、不在中のPM業務を頼んであるの。彼女がどのくらいこの手の仕事に長けているかは知らないけど、ある程度はやってくれると思うのね。」
と答えた後、こう付け足しました。
“I’m gonna punt on that.”
「パント上げようと思うの。」
ん?パント?
アメフトで、パスやランで陣地をゲイン出来る可能性が低くなった時、相手陣内深くにボールを蹴りこんで被害を最小限に抑える、という手段ですね。そのパントが、どうしてこの場面で出て来るの?僕の申し出に対する答えはイエスなの?ノーなの?結局分からずじまいでトレーニングを終えました。
サンディエゴに戻ってから、同僚のリチャード、マリア、リタ、サラと順に、この表現の意味を聞いて回ったのですが、皆の共通の見解がこれ。
「二つの解釈があると思う。ひとつは、その結果が吉と出る確証はないけど誰かの手にボール(仕事)を渡してみる、という意味。もうひとつは、とりあえず判断を先延ばしにする、という意味。」
「もしも後者だとしたら、いずれ僕のチームに仕事を依頼する可能性も残っているわけだよね。つまり、完全なノーではない、と。」
そう食い下がる私に、
「わざと曖昧に答えてやんわり断ったんじゃない?」
と冷静なマリア。これについては、リタとサラも同じ意見でした。え~?そんなぼかした表現、英語にあったの?審判団の裁定にどうしても納得いかない私に、
「ダグに聞いてみたら?彼ならフットボールに詳しいから、本当のところが分かるんじゃない?」
と提案するリタとサラ。
そんなわけで、大御所のダグに最終審判を仰ぎました。
「う~ん。確かに曖昧だね。その時の彼女の表情を見ていないから確信をもっては言えないけど、僕ならやんわり拒絶されたと受け取るね。」
とダグ。
ちぇっ…。
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