今朝早く、部下のシャノンからメールが届きました。
「昨日ジュリアが歯医者に行った時に色々あって、今日も別の医者のところへ行かなきゃいけなくなったの。出社は午後一番になると思う。」
ジュリアというのは高校生の娘さんです。この子は歯にまつわるトラブルに小さい頃から悩まされていて、これまでもシャノンは何度も会社を抜けて娘の歯医者通いをして来ました。昨日は、「インプラント」という手術の予定日だったのです。早退する前にシャノンは、
「あの子はこれでようやく、歯の問題を巡る長い旅に終止符を打てるのよ。」
と、安堵の溜息をついていました。
昼休みの中盤に現れた彼女に、何が起こったのか聞いてみました。
「昨日、施術前に3D X-ray(三次元レントゲン)を撮ってもらったのね。そしたら、インプラントを予定していたポイントの根元の間隔が7ミリ必要なところ、4ミリしか無いことが分かったの。このまま手術したら両脇の歯の根っこを駄目にしてしまうって。インプラントは取りやめて、一から矯正をやり直さなきゃならないって言うのよ。これを聞いたジュリアがね、いつもは年齢の割に冷静な子なのに、その場で泣き崩れちゃったの。これまで何年も辛い思いをしてたのが、一気に爆発しちゃったんだと思うのね。先生が困っちゃって、おろおろよ。」
虫歯知らずで歯医者ともほとんど縁のない私には、想像もつかない事態です。
「実は私自身も、最近色々あったのよ。話してなかったけど、貸し家にしてるアパートのガレージが、週末に火事を起こして大騒ぎだったの。それでなくてもここ数週間は連日夜遅くまでの残業でストレス溜まってたせいか、気が付いたら私もジュリアの隣で泣いてたの。」
歯医者の診察室で泣く母娘。これは医者にとってもなかなか衝撃的な光景だったことでしょう。シャノンが言います。
“It’s one thing after another!”
文字通り解釈すれば、
「次から次に色んなことが起こる。」
ですが、後で各種サイトをチェックしたところ、このThing はProblem(問題)やDifficulties(困難)の意味で使われることが多いようです。
そんなわけで、シャノンが言いたかったのはこういうことですね。
“It’s one thing after another!”
「もう踏んだり蹴ったりよ!」
「でもさ、最新テクノロジーのお蔭で事前に問題が分かったんだから、手術が始まってから発覚するより良かったんじゃない?」
と私。
「そうなのよ。ジュリアにもそう言ったんだけど、あまり効果無かったわ。」
ま、そう言われて簡単に気持ちがおさまるくらいなら、初めから涙なんか流さないか。
「ヨーロッパじゃ、今この瞬間にも何万人という難民が命懸けで地中海を渡ってるでしょ。歯医者に通えるだけでもラッキーだっていう慰め方はどう?」
「それも言ったの。これはちょっと効き目あったみたい。ま、一旦泣き止んじゃったら腹が座ったみたいだけどね。これだけ色々大変な目に遭ったんだから、ここから先はきっと良いことだらけよ、って言ってあげたの。」
とシャノン。良いお母さんだなあ。
それから一時間後、私の隣にやって来て静かに腰を下ろした彼女が、呆れ顔と笑顔をミックスしたような複雑な表情で、こう言いました。
「今、フランクからテキストが入ったの。」
フランクというのは、シャノンの旦那さんです。
「ハッピーアニバーサリー(Happy Anniversary)って書いてあるの。一瞬何のことか分からなかったんだけど、よく考えたら今日って私達の結婚記念日だったのよ。もう、すっかり忘れてた。こんなの、信じられないわ!」
「踏んだり蹴ったり」はまだ終わりじゃなったのですね。ま、最後の一発は殺傷能力低いけど。
「アメリカ人は歯が命」的なことを示すエピソードだね。
返信削除日本ではアイドルでの八重歯が好評価だったりするよね。オイラも芳本美代子結構好きだったりしたケド、そのみっちょんも今では整った歯並びに直しているから、やっぱり若いうちに矯正する方が理にかなっているのカナ。
話は変わるが、日本では昨晩「スーパームーン」のことが結構話題に取り上げられていたヨ
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150928-00000005-resemom-life
そちらでは皆既月食と同時だったらしいケド、話題になってた?
南カリフォルニアの人は特に歯並びを気にする傾向があると思うよ。ほんと、みんな東幹久みたいに綺麗で白い歯だもん。ジュリアの場合、Year Book (日本で言えば卒業アルバム)の撮影時期までに歯を治したいという目標があったから、その計画が崩れたことで大ショックを受けたみたい。
返信削除昔のみっちょんくらいの歯並びなら可愛いけど、アンガールズの山根氏くらいまで行くとちょっとね。
スーパームーンについては追って…。