2013年9月17日火曜日

ボインの問題

半年くらい前、同僚アルフレッドが日本語の勉強を始めました。担当プロジェクトの現場までの長距離ドライブを有効活用し、語学学習用CDを聴き始めたというのです。彼が時々私のオフィスに顔を出して、

「すみませんとごめんなさいはどう違うの?」

などと微妙な質問をして来るようになり、こっちも良い勉強になるからどんどん聞いてね、と励ましています。

そんなある日、彼が決まり悪そうな表情で、

「シンスケ、実は白状しなきゃいけないことがあるんだ。」

と告白口調。

「なんで日本語の勉強を始めたか、まだ話してなかったよね。」

言われてみれば、確かに動機は聞いていませんでした。彼が私の目をじっと見つめ、こう呟きます。

“It’s enemy.”
「敵がいるんだよ。」

そう、私の耳には確かに「エネミー」と聞こえたのです。え?敵がいるから日本語を学習し始めた?一体どんなシチュエーションだ?

「ナルトって知ってるかな?」

と彼が続けます。

「漫画のNARUTOなら知ってるよ。うちの息子が好きだから。」

と私。忍者漫画の中のライバルの話でも持ち出すのかな、と思ってたら、アルフレッドは更に恥ずかしげな表情を浮かべ、

「実は僕、高校生の頃からずっとNARUTOのファンでさ、いつかきっと原書を読めるようになりたいって思ってたんだ。それで日本語をね…。」

ん?だからどうしてそれが敵の話になるの?

三秒ほど空白の時間が過ぎた後、ようやく分かりました。彼が言ったのは、「エネミー」じゃなくて「アニメ」だったのです(Animeは英単語としてアメリカで普通に流通しています)。英語でAnimeを発音すると、Enemyに聞こえるんですね。この単語は子音(しいん)が少なく、母音(ぼいん)がむき出しになった感があります。英語の母音というのは、日本人には特に難物だと思うのは私だけでしょうか?

Anime を構成する母音の発音は、以下の通り。
a は「え」に限りなく近い「あ」
i は「え」に限りなく近い「い」
e は「い」に限りなく近い「え」


はい、これでAnime を発音すると「エネミー」になりますね。

2 件のコメント:

  1. 日本のアニメや漫画が入口になって日本語を覚える人たちが結構いるみたいだね。テレビ東京の「YOUは何しに日本へ?」という成田空港でいきなりガイジンをつかまえて密着取材するという番組でも、よくそんな人達がとりあげられてたりします。
    彼らの憧れの地が”世界の”アキハバラだったりするんだよねぇ。
    http://youtubeowaraitv.blog32.fc2.com/blog-category-658.html

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  2. あ、この番組、こないだの一時帰国中に観たよ。とっても面白かった。リンクはアクセス拒否されちゃった。残念。

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