2017年2月16日木曜日

Excuse my French フランス語で失礼

先週末は、一家泊りがけでオレンジ・カウンティーへ出かけました。息子の所属する水球クラブチームがトーナメントに出場するということで、送り迎えプラス応援が我々夫婦の任務。日本語補習校のクラスメートでもある彼のチームメートK君も加えての四人旅。広域に点在する複数の競技用プールを使っての大会でした。前の試合の勝敗次第では何マイルも離れたプールまで移動しなければいけないので、保護者による送迎サービスは不可欠なのです。

午後一番、最初の会場の車寄せに停車すると、30メートルほど離れたフェンスの向こう側、乾いた冬空をバックに、ホイッスルと歓声と激しい水音がこだましています。

「二コラ!」

後部座席の窓を開けて叫ぶ息子に、濡れた髪を撫でつけながら会場を出て来た仲間が拳を突き上げて、「勝ったぜ!」と応えます。息子のクラブには百人を超えるメンバーがいて、今回は4、5チームに分かれて参加しているようなのです。

少年たちを路肩で降ろしてから駐車場に車を停め、妻とプールまで歩きます。三つの階段席(ブリーチャー)は既に保護者で一杯。次の試合が始まるまで、その谷間に立って席が空くのを待つことにしました。激しい水しぶきの中で荒々しく肉体を跳ね躍らせる若者たちの姿を眺めながら、羨望に似た感動を覚えます。まるで縄張りを争って死闘を繰り広げるシャチの群れ。出張中に誰かから頂いた風邪をこじらせ、土曜の朝まで三日間寝込んでいた病み上がりの中年には、真冬に屋外冷水プールで闘う選手たちの爆発的なエネルギーが眩しかったのですね。

さて、息子の出る二つ前の試合が終了し、保護者がどっと立ち上がりました。それっ!とばかりに妻と観覧席を陣取ります。二人の座席を確保してからプールサイドのトイレで用を足して戻ると、何故か水面が静まり返っています。

「悪い言葉を使った選手がいたから、審判が一旦試合を止めて注意してたの。」

と妻。

“Are you fxxkin’ blind?”
「てめえ今のが見えてなかったのかよ?」

審判にそんな暴言を吐けば、そりゃお目玉食らって当然でしょう。でも、この種目は格闘技すれすれの接触プレー連発なので、ただでさえ血の気の多い年代の男子たちが試合中に熱くなるのは、充分理解出来ます。

そういえば先日、帰宅した息子が水球仲間の級友フランキーの話をしてくれました。彼が担任の女性教師のことをFxxking(Fワード)付きで表現したというエピソードを笑いながら話す息子を、すかさずたしなめる私。

「友達同士ならともかく、親と喋る時にはそういう言葉遣いを慎んでくれるかな。何でも話せる間柄であっても、節度は大事だと思うぞ。」

「ごめんなさい。」

さてこの「Fワード」ですが、実は先日、本社副社長のパットと電話している時にも飛び出しました。想定外の障害が次から次へと現れ、仕事が思うように進まない現状に苛立つ彼女が、ある事件をとらえてこう言ったのです。

「あのファッキンXXXXが!」

そして間髪入れずにこう付け足すパット。

“Excuse my French.”
「フランス語で失礼。」

これは面白い表現だと思い、すかさずノートに書き留める私。思わずFワードを口走った際に、「聞き手に馴染みのない単語を使ってしまったことを謝る」態でふざけて使うフレーズのようです。

でも、どうしてフランス?

ネットでちょっと調べたところ、かつてイギリス人が無作法の罪をフランス人になすりつけたことから来ているのではないか、という説を発見。たとえばTake French leave(フランス式のさよならをする)というのは、主催者に挨拶もせずパーティーや集会を去ることを指すし、French Kiss(フレンチキス)は舌を使ったディープキスの意味。French Disease(フランス病)は梅毒のこと。この流れからすれば、Fワードをフランス語だと言ってとぼける態度も納得です。フランス側からすれば迷惑な話ですが、よくよく考えてみればプラスにも受け取れる偏見だと思います。だって、性やマナーに関して自由で奔放なお国柄だという決めつけは、ある意味羨望とも取れるのですから。お行儀の良さを取り柄としている日本人の私は、ひどい言葉を口走ったり気の向くままに行動したりする人に、ある種の憧れすら抱いてしまうのです。冬のプールで暴れまわる、若い水球選手たちに見惚れるように。

とにもかくにも、卑猥な英単語が思わず口をついて出てしまった時は、このフレーズで締めるのが良いでしょう。

“Excuse my French.”
「フランス語で失礼。」

さて今日のランチタイム、新人のアンドリューにこの話をしたところ、彼の第一声がこれ。

「本気でかっとなってFワードを口走った人に、そんな落ち着いたフォローは思いつかないんじゃないかな。」

おいおい、若いのに随分冷静だな。


5 件のコメント:

  1. なぜか日本では、軽くチュッとするキスのことを「フレンチ・キス」と通称するようになっているんだよね。
    https://oshiete.goo.ne.jp/qa/2807658.html

    誤解されないように注意が必要だね・・・って、この歳ではそういう場面もないか?

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    1. 「フレンチ・キスしよう」って軽く誘っておいて、いきなりブチュ〜って行く手もあるよね。「アメリカではこういうのがフレンチ・キ・・・」「最低!」バチっ!

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  2. オイラが「フレンチ・キス」の語意を知ったのは中学生のとき。元フリートウッドマックの、メンバーだったボブウエルチが「フレンチ・キス」というアルバムを1977年に出したのを何かのラジオで紹介されていて、その際に聞いたんだよね。
    ↓この曲は割とヒットして、誰かがカバーしていたような。
    https://www.youtube.com/watch?v=j3NoZOsBjbc

    最近70’後半の曲がなんかイイ感じで入ってくるんだワ。洋楽が洗練されたのは80’からといわれがちだが、70'後半からの流れなんだよね、やはり。こんな曲もなかなかオシャレダワ
    https://www.youtube.com/watch?v=7rWJmvFIIoQ

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  3. ジャケ写真の綺麗なお姉さんがベロ突き出してるね。これ中学生の目には毒だなあ。

    70年代後半の洋楽の記憶はほとんど空っぽだなあ。木琴の速弾きは新鮮でした。

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  4. 「実は70’」て曲は結構あるヨ

    マイシャローナ(ナック)・・・79年
    ハート・オブ・グラs(ブロンディ)・・・79年
    YMCA(ヴィレッジ・ピープル)・・・78年
    セプテンバー(EW&F)・・・・78年
    ホテル・カリフォルニア(イーグルス)・・・77年
    ステイン・アライブ(ビージーズ)・・・77年
    ダンシング・クイーン(アバ)・・・76年
    二人だけのデート(ベイシティ・ローラーズ)・・・76年

    クイーンも「世界に捧ぐ」は’78リリース、バリ・マニロウもキミの好きな所は'70だからね(コパカバーナが'78)。

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