2016年8月21日日曜日

She’s a unicorn 彼女はユニコーン

北米全域でプロジェクトコントロール部門を立ち上げようと日々奮闘する副社長のパットと、月一回のペースで電話し、情報交換をしています。ただでさえ忙しい彼女が、組織的には直接繋がりの無い私のためにそこまで時間を割く義理は全く無いのですが、

「誰であろうとこの活動に興味を示してくれる人の熱意には応えたいし、あなたと話すことでこちらも得るものがあるのよ。」

と言ってくれています。具体的に何を得られるのか説明は頂いてませんが、これがおべんちゃらでなければきっと、現場で何が起きているかを私を通して知ることが出来る、と言いたかったのでしょう。

我が社は北米を九つの地域に区分しているのですが、このうちの一地域で今、着々とプロジェクトコントロール・グループが形成されつつある、という話をしてくれるパット。そのトップに採用した女性のことを、彼女がこう言いました。

“She’s a unicorn.”
「彼女はユニコーンよ。」

え?ユニコーン?あの奥田民生率いる?じゃなくて、額から角が生えてる馬のこと?羽も生えてたっけ…?

頭の中を異形の馬がバタバタと駆け回り、その後の会話がなかなか入って来ません。電話を切った後、さっそくネットで検索。真っ先にヒットしたのが、

「過去の実績は無いのに市場価値が1ビリオンドルを超えるスタートアップ企業。グーグルやフェイスブックがその例。」

え?そうなの?だとすると、その女性は外部から雇われたために実績は不明だけど、報酬が高いということか?う~ん、腑に落ちないぞ。大体そんな人、雇うか?

同僚ジェイソンと打合せした際、この質問をぶつけてみました。すると、

「現実には存在しない想像上の生き物、という意味だね。」

と、背景説明をあっさり丸ごと無視した解答をくれました。いやいや、そんな妖精みたいなもの、会社が採用するわけないでしょ。

「バイセクシュアルという意味もあるよ。」

と補足するジェイソン。採用した人が両性愛者だったっていうのか?う~ん、そんな爆弾情報、さらりと提供してくれるほどパットに信用されてるとは思えないし…。

数時間後、今度は若い同僚サラに同じ質問をしてみました。

「想像上の生き物で、誰も捕まえたことが無いでしょ。だから、得難い(hard to get)って意味に使われてる表現だと思うわよ。その人、きっと滅茶苦茶優秀なんじゃない?」

おお、それなら分かる!パットのセリフはきっと、こう訳せるでしょう。

“She’s a unicorn.”
「彼女は奇跡的な逸材なのよ。」


ここまで手放しの評価を貰える人に、なりたいものです。

2 件のコメント:

  1. ちょくちょく見ているサイトに、タイミング良くこんな記事が出てたヨ。
    http://biz-journal.jp/2016/08/post_16225.html

    架空の生き物なのにメデューサとかグリフォンではないのには、やはり夢を与えるって所の差なのかね。オイラの訳では「彼は麒麟児なんだよ」・・・ピンとこないか。。。

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  2. 日本でも知られてる表現だったとはねえ。意外。
    麒麟児ね。富士桜と喧嘩すれすれの張り合いを演じた人だね。

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