2013年4月8日月曜日

ジャンク・レフリー

息子が通う日本語補習校の同級生で、お母さんが日本人、お父さんがアメリカ人という女の子がいます。このお父さんが私と同い年なのですが、恐らく同年代の平均的男性三人分くらいのエネルギーを持つスーパーパワフル・ガイ。仕事を普通にこなしつつ夜は大学講師を務め、更には二つ目の修士号取得に向けて大学院に通ってます。それだけでもビックリなのに、長男が始めたサッカー教室に付き合ううちに、レフリーの資格まで取ってしまったのだと。少年サッカーのレフリーという仕事は基本的にボランティアなので、わりとどたキャンが多いそうです。でもこのお父さんは律儀な性格で、レフリー役を頼まれるとどんなに多忙でも何とかやりくりして引き受けてしまうのだと。そうしてどんどん頼まれているうちに、昇格しちゃったのだそうです。
始めた頃は奥さんに、
「俺はまだまだジャンク・レフリーだから。」

と言っていたそうなのですが(というのは奥さんの弁)、あっという間にレベルが上がったため、彼女が
「もうジャンクじゃなくなったのね。」

と労ったそうです。すると途端に顔をこわばらせ、
「ジャンクって何だよ?」

と、ぶすっとした表情で尋ねたそうです。
「え?だってあなたがそう言ってたんじゃない。私は素直に、そういう表現があるのね、って思ってたんだけど…。」

慌てる奥さんに、彼がゆっくりとこう説明したそうです。
俺が言ったのは、 adjunct ジャンクレフリーだよ。」

 Adjunct というのは「付属の」とか「補助の」とかいう意味。つまり彼は、自分は「非常勤の」レフリーだと言いたかったのですね。それをジャンク呼ばわりされ、さすがにむっとしたみたい

 こういう聞き間違えって、私も日常茶飯事です。先日も同僚のステヴに、
「アメリカ人はイースター(復活祭)に何をするものなの?」

と尋ねたところ、
「小さい子供がいる家庭なら、エッグハントをするね。庭のあちこちに玉子を隠して、それをちびっ子たちに見つけさせるんだ。」

と話してくれました。

「ああ昔はやってた、うちの子も。でも彼はもう11歳だからね、さすがにエッグハントは卒業かな。僕みたいに、子供が大きくなっちゃった人はどうすればいいの?」

と更に押したところ、彼がこう答えたのです。
“You could die.”
「死ねば?」

へ?それは一体どういうジョーク?ギョッとする私に、

「あ、ダイは D Y E のダイだから。」

と付け加えるステヴあ、なんだ、dye 染める)ね
「イースターには玉子に彩色して飾る人も多いんだ。」

だそうです。彼が言いたかったのは、こういうこと。
“You could dye (eggs).”
「(玉子)に色を塗るのもいいんじゃない?」


まったくもって、英語の達人への道は険しい…。

2013年4月5日金曜日

人骨発見!

数日前の早朝、考古学者の同僚ヘザーからメールが届きました

「折り入って頼みがあるんだけど…。」
今週末締め切りの財務レポート作成をお願いしたい、とのこと。彼女は進行中のプロジェクトを8件ほど抱えているのですが、先週から現場に出てばかりでとてもオフィスワークの時間が取れそうにない、というのです。お安い御用、と四の五の言わずに引き受ける私。先週のスタッフミーティングの席上、確かエリックが、

「ヘザーが夜中の一時半に、クライアントからの電話で起こされた。」
などと話していたのを思い出し、何か一大事が起きているような気がしたのです。さっそく文化財調査チームの若き精鋭ティファニーを訪ね、状況を探ってみることにしました。

「地下鉄工事の現場で、骨が出たのよ。それでヘザーが呼び出されたってわけ。」
「何で夜中に?朝まで待てなかったのかな。」

「そういうプロトコル(決まり)なのよ。土の中から骨が出たら、即刻工事を止めて専門家を現場に呼ぶの。それで、人骨だってことになったらそれがどの時代の骨なのか、周囲にも埋まっている可能性があるのか、なんてことを検討するの。」
「で、人骨だって確認出来たの?」

「そうなのよ。しかもこれが、めちゃくちゃ古い物かもしれないのよ。」
そうして現場から送られた、半ば化石化した骨の写真をコンピュータ・ディスプレイ上に映し出しました。彼女は自分の棚から薄い本を取り出し、パラパラと開いて見せてくれました。ページ上に、人間を含めてありとあらゆる動物の骨の写真が並んでいます。しかも身体の部位別に。

「今回のは大腿骨よ。鹿や馬のと形を較べてみて。人間の骨だって分かるでしょ。」
「ほんとだ。確かにこれは人間のものっぽいね。」

「私、行きたくてしょうがないの。ホテル代は自分で出すから出張させてってお願いしてるのよ。だって人間の骨が出るなんて、本当に稀なことなのよ。」
ティファニーの顔は、興奮で上気しています。

“I’m super-excited!”
「私、チョー舞い上がってるの!」

翌日、同僚リチャードにこの話を伝えたくて彼の部屋を訪ねたら不在。マリアの部屋へ行って彼の居所を聞いてみたら、
現場に出かけてるわ。彼、Desalination (海水淡水化)のプロジェクトに関わってるでしょ。」

「ええっ?あのクールなプロジェクトの現場?いいなあ!」
そういえば、リチャードから前に聞いていました、この話。自分の中で、現場への愛がむくむくと蘇って来るのを感じましす。ここんとこ、ず~っとオフィスワークだもんなあ。そろそろ現場、行きたいなあ。

マリアに人骨発見話を紹介し、現場の仕事には人を「燃えさせる」何かがあるよね、と頷き合いました。
「私も10年くらい前、すごいプロジェクトに参加したのよ。」

それは、スペースシャトル・コロンビアの事故現場での遺物回収プロジェクト。テキサスの僻地に駐留し、NASAや消防隊などとチームを組んで数週間現場の捜索をしたのだと。
「もちろん悲しい出来事だったわ。毎週の経過報告会ではNASAの人たちが声を詰まらせていたけど、すごく大事な任務だったし、NASAの人たちと友達にもなれたし。今まで関わった中で、最高のプロジェクトだったわ。」

数々のクールなプロジェクトの話を聞いて、ものすごく元気が出ました。

やっぱ現場はいいなあ!

2013年4月3日水曜日

Big shot お偉方の条件

今日の正午、ダウンタウン・サンディエゴ支社で、全社員対象のランチつきミーティングがありました。南カリフォルニア地区のトップであるジムが、各部門のトップマネジメント4名も引き連れて支社を訪問したのです。 
 
昨年秋に行われた社員意識調査の結果を発表しがてら、新リーダーとして今後の方針を伝え、職場環境の改善策について意見交換をする、というのが目的。彼がトップに就任してから半年が経過しているので、ちょうど良い頃合かもしれません。

会議終了後しばらくして、同僚ステヴと話す機会がありました。
“A lot of big shots have been visiting our office these days.”
「最近、ビッグショット(お偉方)が大勢このオフィスに来てるねえ。」

と私。つい先週も北米西部のトップが来たので、これで二週間、大物訪問が続いたわけです。ここで私はふと気になり、ステヴに尋ねました。
「そうだ、ビッグショットって言葉、よく使うけど、どういう人を指すわけ?」

不意打ちの質問に、ぐっと詰まるステヴ。
「たとえばレイなんかはどう?彼はビッグショット?」

レイは、この支社で決裁権を持つ二人の社員のうちの一人。充分大物です。
「いや、レイは違うね。」

と首を振るステヴ。
“Then, how would you define big shots?”
「じゃ、ビッグショットの定義を教えてくれる?」
と詰め寄る私。二秒ほど考えた後、ステヴがこう答えました。

“If they know who I am, they are not big shots.”
「俺が誰だか知ってるような人間は、ビッグショットじゃないね。」
な~るほど。本社ビルの上層階にオフィスを構え、我々現場の人間のことなど知らないようなレベルの人ね。

毎度の事ながら、ステヴのこうした「気の利いた切り返し」には唸らされます。こんな風に、冗談めかして英語のセリフを吐けたらいいなあ。

我田引水?

数週間前のこと、南カリフォルニア地区のトップからこんなメールが届きました。
“Congratulations! You have been selected as a member of the Simplify Committee.”
「おめでとう!あなたは簡素化委員会の一員として選ばれました。」
なんなんだこの詐欺師まがいの売り口上は?

中身を良く読んでみると、どうやらこの委員会、北米西部担当副社長の掛け声で設置されたものらしい。PM達が効率的に仕事が出来るよう、煩雑で冗長な書類手続きなどを大幅にカットしようじゃないか、というのが趣旨。カリフォルニアだけでなく、コロラド、アリゾナ、ハワイなどの支社に在籍する支社長からPMレベルまで20ほどが選出されました。

しかし一体全体、どうして私が委員に選ばれたのでしょうか。ま、理由はどうあれ、頼まれたからには張り切って行きますよ~!と鼻息を荒くする私。委員のほとんどは面識の無い人たちですが、オレンジ支社の熟練PM、スティーブも選ばれていました。彼はさっそく、支社内の中堅以上のPM達にメールを送りつけます。

「こういう委員会がスタートするんだ。もしも改善案があったらどんどん言って欲しい。委員会に上げるから。」
暫くして、ボスのリックからメールが届きます。

「シンスケ、スティーブの要請に応えてひとつ提案を書いたんだが、彼に送る前にちょっと読んでみてくれないか?」
スクロールしてみると、こんなことが書かれていました。

「業務のシステム化が進んだ結果、サポート人員が大幅に削減され、今やPMが何もかも自分でやらなければならない状況にある。これでは本来業務に集中出来ない。特に財務分析は難解な上に時間を取られる。ここはシンスケのプロジェクト・コントロール・グループを拡大し、広くPM達のサポートをすることが得策である。」
おお、これは有り難い!部下を少しずつ増やしてチームを広げ、ゆくゆくはカリフォルニアのみならず北米西部も傘下におさめようという私の「壮大な企み」を(半ば冗談ですが)、我が愛する上司はこの機会に後押ししてくれようというのです。

「有難うございます。いや、これは願っても無いことです。」
そう私が恐縮すると、彼がふと思いついたように尋ねます。

「そうだ、この提案、スティーブじゃなくてシンスケから委員会に上げてもらおうか?」
この時反射的に浮かんだセリフが、これ。

「それはいくらなんでも我田引水ですよ。」
ただ単に自分のチームを拡大したいからそんな提案してるんでしょ、と突っ込まれてもおかしくない内容です。そう答えたかったのですが、この「我田引水」というコンセプトを英語でどう表現したらいいのか分かりません。暫く口ごもっていたら、リックがやっと察してくれました。

“Oh, do you think it’s too self-serving?”
あ、それじゃセルフ・サービング過ぎると思う?」
なるほど、self-serving自分で自分に給仕する。固い言葉で言えば、「自己利益的」。そうそう、それが言いたかったんだよ

 帰宅してから妻にこのエピソードを伝えたところ、
「そういうシンプルな英語表現を知っていると便利ね。」

と感心します。
「いや、反対に、そういうのを知らないだけで、会話が全てストップしちゃうから怖いんだよね。まだまだ勉強が必要だなあって思ったよ。」

と私。
「ところでよく考えたら、我田引水ってフレーズ、今回の状況に百パーセントフィットしてないかもしれないって気がしてきたんだ。」

「そうかな?」
「そもそも、そんなたいそうな四字熟語なんか使わなくても、もっとカジュアルな言い方があるんじゃないかなあ。でもちっとも思い浮かばないんだよ。」

実際、ここ数年の私の日本語能力の減退は、悲しくなるほどの勢いです。使ってないもんなあ。英語学習に注力しすぎなのかもしれない…。
「ね、なんか他に言い方知らない?」

そう助けを求める私に対し、
「ソレヲワタシニキクカ?」

と、外国人みたいな口調で逃げる妻でした

2013年3月31日日曜日

あー夏休み

金曜の昼、妻と旅行代理店へ行ってきました。一時帰国のための航空券手配が目的です。約4年ぶりの帰国ですが、7月中下旬という、よりによって一番暑い時期に帰ることを決めました。蒸し暑いのが大嫌いな妻はこの計画に難色を示し続けていたのですが、息子に学校を休ませないですむため、夏休みの帰国は理に適っているということで合意に至ったのです。

「きっと楽しいよ~。」
とはしゃぐ私に対し

「だってどこに行っても死ぬほど暑いのよ。楽しみになんて出来ないわ。」
と憂鬱そうな妻

サンディエゴは一年中からっとして常に温暖。こんな土地に長く住むと、湿気が多く暑いところへ行くのがしんどくなるのですね。しかし私は、蒸し暑いのが平気な男。35度くらいまでは大丈夫です。だから妻の心配が、イマイチ理解出来ません。とにかく暑さから一旦視点を外して、美味しい日本食とか懐かしい友人との再会とか、楽しみなことだけ考えるようにしてみてよ、と励ましています。妻と一時帰国の話をする際は、暑さのことは一切口にしないよう、細心の注意を払っている私。
旅行会社のダグラスさんは、日系アメリカ人カタコトというよりはやや流暢な日本語で、明るく対応してくれました。しかし帰国日程を告げたところ、間髪を入れずこう反応します

「なんでそんなアツいトキにカエルの?」
もー、旅行会社の人がそんなこと言っちゃダメでしょ

2013年3月23日土曜日

Bring the mountain 山を動かす?

サンノゼ支社のトムは、北カリフォルニア地域の財務部門長。そんな彼から、今月の初めにメールが届きました。

「サンフランシスコ支社まで来て、うちの連中にプロジェクトマネジメント・システムのトレーニングをしてくれないか?旅費も含めて費用はこっちで持つから。」
これには興奮でちょっと身体が震えました。一年前に講師として南カリフォルニアの支社巡りをしたことがあり、皆に「お願いされればどこへでも行くよ!」と公約していた私ですが、今回はなんとサンフランシスコ。はるばるそんな遠くからお呼びがかかるなんて!

「喜んで!今月中でも対応するよ。18日の週はどうかな。」
と返信。すると、彼の部下であるオンタリオ支社のモーガンが、サンフランシスコ支社の部長たち(会ったことはありません)に宛ててメールを送りました。

「18日と19日の二日間、シンスケがトレーニングのために来てくれることになりました。PM達に召集をかけて下さい。彼はアメイジング・ティーチャーよ。」
これに対し、建築設計部長のアリスから待ったがかかります。

「いい考えだとは思うけど、タイミングが悪いわ。ここのところ色んなトレーニングが立て続けにあって、うちのPM達はアップアップなのよ。」
部下達がトレーニングにばかり時間を割いて、本業に打ち込めない現状を看過するわけにもいかないのでしょう。そりゃそうだよな…。残念だけど、この話はここで立ち消えかな、とがっかりしていた私ですが、数分後にトムがこんなメールを一斉送信しました。

「本来ならおたくのPM達は、既にシステムに精通していなければならないところだ。問題なく使えている連中も何人かはいるけど、学ぼうともしない人間がいるのも事実。」
ここで、トムの次の文章に目が釘付けになります。

“This is why we are bringing the mountain to them.”
「だから我々が山を運んで来ようとしてるんじゃないか。」
え?山を運ぶ?何が山なの?この場合…。

彼の文章は、さらに辛らつさを増します。
「そもそもトレーニングなんかしなくてもいいんだよ。しかし毎期末に損失計上する状況が続いてる以上、至急対策を講じざるを得ないだろう。」

ひえ~っ。なんか険悪なムード…。この後、いくつかメールのやり取りがあり、結局サンフランシスコ出張は5月まで延期となりました。
それからずっと、私の頭にはBring the mountain というフレーズが引っかかっていました最初の解釈は、私という人間を山と見立て、「シンスケ(イコール山)をここまで引っ張って来る」と言おうとしている、というもの。でも、私が「動かざること山の如し」ってタイプじゃないことは誰の目にも明らかだし(むしろ腰が軽すぎるかも)、たとえそうだとしても、若干失礼な物言いのような気もします。この件についてはあまりの多忙続きで暫く調査が出来なかったのですが、遂に昨日解明しました。

諸説あるようですが、総合するとこれは、フランシス・ベーコンの著書からの引用が元みたいです。
If the mountain will not come to Mohammed, Mohammed will go to the mountain.
山がマホメットの元へ来ないのなら、マホメットの方から山へ行くだろう。

イスラム教創始者のマホメット(ムハンマドとかモハメッドなどという表記もある)は「私は山も動かせるのだ」と人々に信じ込ませていた。皆の前で「山よ、こちらへ来なさい」と何度も唱えたのが、何も起こらない。ここで彼はすっくと立ち上がり、恥じる素振りも見せずに、「山の方から来ないのなら、こちらから行くまでだ。」と言ったそうです。
なんじゃそりゃ?という話ですが、なんとなく言わんとしていることは分かりました。トムは、このフレーズをちょいとひねって使ったのでしょう。私の解釈は、こうです。

“This is why we are bringing the mountain to them.”
「(PM達が積極的に学ぼうとしないから)我々が山(トレーニング)を運んで来ようとしてるんじゃないか。」

そんなわけで五月初旬、サンフランシスコまで山を運んできます。

{追記です}
同僚のリチャードとエリックに聞いてみました。どうやらこのフレーズは元の意味からかなりズレていて、「不可能に近いことを成し遂げようとする」とか「難事に挑む」ことを指すそうです。

2013年3月14日木曜日

ダウ上昇のナゾ

ここのところ、ダウ平均株価 (Dow Jones industrial Average) 昇のニュースが連日メディアを賑わせています。なんだかフワフワと景気の良い雰囲気が漂う中、NPRという公共ラジオ局が、この熱狂に水を指す番組を放送しました。

「ダウなんか無意味だ。そんな数字をニュースで追いかける価値など無いし、むしろ害悪である。」
そう主張する人たちの言い分が紹介されていたのですが、これが本当に目からウロコだったので、簡単に紹介しておきます彼らの論点は以下の通り

わずか30社の株価を追いかけて何が分かる?
アメリカ全体の景気を、大企業30社の株価だけで判断出来るのか?しかもこの30社には、アップルもグーグルも、アマゾンも入ってないぞ。

インフレはどうした?
過去最高値を連日更新とか言っているが、インフレ率を考慮すれば現在の指数はまだまだ低い最高値と呼ぶには15000 以上必要

単純な足し算で良いわけが無いだろう!
株価というのは企業の価値を株数で割ったもの。同じ価値を持つ二つの会社が全く違う株数を発行した場合、株価には当然差が出る。一株100ドルと一株1ドルの会社が全く同じ価値を持つことだってあるわけだ。双方の企業価値が10%上昇したとして、一方は10ドル上がるのに対し、もう一方は10セントしか上がらない。ダウの指数は30社の株価を横並びで足し合わせて係数で割るため、上がり下がりの「効き方」が発行株数に左右される。実際、IBMとAT&Tの企業価値はほぼ同じだが、IBMの方が圧倒的に発行株数が少ないため、AT&Tと較べてダウ平均への効き方がはるかに大きくなる。
 
こうした理由から、ダウ平均に基づいて経済動向を語るのは「アマチュアのすること」だそうです。IBMがコスト削減のために大量解雇した結果、株価が上がったとする。するとダウも上昇する。失業者が増えたっていうのに景気は堅調だと喜ぶ人が増える。これが愚かと言わずして何としよう…。

な~るほどねえ。勉強になりました!

2013年3月9日土曜日

Come-to-Jesus meeting キリストとミーティング?

今週は、プロジェクト・デリバリー部門の北米西部を統括する副社長のチャーリーが、サンディエゴに出張していました。主だったプロジェクトをレビューするのが目的で、水曜は私がPMを務めるプロジェクトをチェックしてもらいました。

このプロジェクトは工期11年、契約額35ミリオンと巨大で、一人のPMが全てを管理するのはとても無理。そこで私が財務面を担当し、ジムが渉外担当、セシリアがチームのまとめ役、パティが文書管理担当、と手分けをしています。今日のレビューでも、この4人がチャーリーの質問にそれぞれ答えました。
チームのメンバーに対するアクションについてセシリアが説明したのに応え、チャーリーが冗談めかして “Jesus meeting” とか何とか口走りました。え?「ジーザスミーティング」?

これ、前にも何度か聞いているフレーズ。意味が分からないままずっと流してたんですが、今回は会議終了後に同僚ステヴを訪ねて解説をお願いしました。
「それは、カム・トゥ・ジーザス・ミーティングのことだね。」

「あ、そうそう。確かそんな言い方してた。」
「キリストのもとに集まって罪深い行いを改めよ、という話から来ているんだ。」

「ふ~ん。じゃ、ビジネス絡みだとどういう意味になる?」
「たとえばさ、プロジェクト・チームのメンバー達がきちんとやるべき仕事をしていないような状況が続いている場合、PMが皆を招集して仕切り直す必要があるでしょ。そういう場合に使うんだ。」

Please come to Jesus meeting. (ジーザスミーティングに来て下さい)みたいに?」
「いやいや、come-to-Jesus でひと塊。ハイフンで繋いで形容詞的に使うんだよ。」

「ええっ?」
これにはちょっと驚きました。「ジーザスミーティング」ではなく、「カム・トゥ・ジーザス」が「ミーティング」を修飾しているのだと言うのです。確かに、そうでなければジーザスの前に冠詞がつくはずだよな…。そこでちょっと考えて、例文を作ってみました。

“Jackie came down from San Francisco and we had a come-to-Jesus meeting."
「ジャッキーがサンフランシスコから飛んできて、カム・トゥ・ジーザス・ミーティングが開かれた。」
「うん、そういう使い方が正しいね。」

とステヴ。
そんなわけで、私の和訳はこれ。

“We had a come-to-Jesus meeting.”
「会議で喝を入れられたよ。」


あとで別の同僚リチャードに話したところ、彼はこのフレーズを使わないことにしてると言います。
「キリストの名を口にすると腹を立てる人がいるからね。面倒くさいんだよ。」

以前、仕事でトラブルがあった際、思わず「ジーザス・クライスト!」と叫んだのだそうです。この時そばにいた敬虔なクリスチャンの同僚に、
「彼の名をみだりに使って欲しくないな。」

とたしなめられたのだとか。ここでリチャードは間髪いれず、
「彼に救いを求めたんだよ。」

と答えたそうです。私はちょっと感心し、それは見事な返しじゃないか、とコメントしたのですが、
「とにかく、宗教色のあるフレーズは使わない方が安全だよ。」

と忠告顔。

日本で「仏の顔も三度まで」と発言したとしても、気を悪くするお坊さんはいないと思うんだけど…。