2014年11月29日土曜日

ストックホルム症候群とクライアント・マネジメント

色々あって、専門外である建築部門のプロジェクトを10件以上担当しています。そのうち5件は、大量出血状態。プロジェクト中盤でのバトンタッチだったので、中身はまだ勉強中なのですが、一体何がどうなったらこんな事態になるのかね、と首を捻りたくなるほどの惨憺たる有様。

このうち二件のプロジェクトにオレンジ支社の同僚ブライアンが深く関わっていると知ったので、彼に解説をお願いしました。それで分かったのが、次のような背景。

クライアント側にプロ・アマ含めて建築家はひとりもいない。だからこそコンサルティング・ファームに仕事を依頼しているわけだけど、専門知識ゼロなのを良いことに、思いつきでどんどんデザイン変更を要求して来る。それがどのくらいコストに影響するかについては何も考えない。チーム全員がほぼ徹夜で練り直したデザインをプレゼンすると、建築コストの増加にたじろぎ、「やっぱりそれはやめとこう。」とあっさりひっくり返す。設計変更に費やしたコンサルタント側のコストについては、「そこは何とかしてよ。頼むよ。」と笑って済ませる。こんなやり取りが毎週のように繰り返される。気が付けば、膨大な損失を抱えている…。

これにはぶったまげました。プロジェクトマネジメントの基本中の基本である、「どんなに小さな変更依頼も必ず文書化し、費用をクライアントが負担することを文書で確認してから進む」というルールを全く守ってない。歴代のPMが全員クビになっているのも、これで説明がつくじゃないか…。

「皆、そんなやり方がまずいのは重々分かってるんだよ。でもこの不景気じゃ、クライアントの機嫌を損ねるリスクも取れないでしょ。だったら他の会社に頼むからいいよ、と切り捨てられる可能性を考えると、些細な変更ならちょいと残業して凌いでしまおうという意識が働くんだな。それが地獄の入り口だと薄々勘付いていながらも。」

私が普段担当している上下水道や高速道路設計などのプロジェクトは、クライアントが公共団体でしかも専門家の担当者を抱えているケースが多く、彼らからまず設計標準等を与えられるのが一般的。プロジェクトの成果は開始前からある程度分かっている上に、条件変更がどの程度のコスト増に繋がるかのイメージは、双方がほぼ共通認識として持っています。これが建築の世界では、だいぶ事情が違うらしい。成果品のイメージが曖昧なままスタートし、クライアントからの気まぐれな変更要請に辛抱強く応えつつ長時間労働を続け、社内では「何を大損こいてんだ!」といたぶられる。

「顧客を満足させつつきちんと儲けを出す」というビジネスの基本ルールは、もはや二律背反の大難題なのですね。確かに、この不景気にクライアントからの無償変更要請を毅然とした態度で押し返すのは容易ではないでしょう。会社を放り出された歴代PM達の苦悩を思い、初めて同情心が湧きました。

後で担当副社長のビバリーにこの話をしたところ、

「分かってくれて有難う。でも、それだけじゃないと思うのよね。建築家は、元来アーティストなのよ。アーティストは顧客の夢や情熱に共鳴すると、ビジネスパーソンとしての意識が飛んじゃうの。気が付くと、クライアントの言いなりになってるのね。エンジニアとはそこが違うと思うわ。」

なるほどね。

Stockholm Syndrome (ストックホルム症候群)って聞いたことある?ある業界誌に記事が出てたんだけど、建築家のプロジェクトマネジャーはこれに罹りやすいって書いてあったの。うちのグループ内でこの記事を回したら、すごい反響。あるある!って。」

「ストックホルム・シンドローム?何それ?」

これは初耳のフレーズです。

「確かスウェーデンのストックホルムで起きた人質立てこもり事件から名前がついてると思うんだけど、長いこと監禁されているうちに人質が犯人の思想や主張に共感し始めて、段々と自ら進んで言いなりになって行く、という現象を指してるのよ。確か、犯人と結婚した人質もいたと思うわ。」

「ええっ?そんな!」

「建築業界でコンサルティングやってると、散々こき使われているうちに自分の上司よりもクライアントの言うことを聞くようになっちゃう、それで会社に大損させても気にならなくなるっていうことね。」

長いことプロジェクトマネジャーのサポートをやって来ましたが、そんな奇妙な現象を聞いたのはこれが初めてです。翌日、エンジニアのPMエリックに意見を聞いてみました。

「それは建築業界に限った話じゃないと思うよ。これだけ景気が悪いと競争は熾烈だからね。クライアントだって強気に出られるでしょ。無理な要求を呑まされるケースも多いよ。ポイントは、いかに支援体制を保ちつつ譲れない線を示すか、だ。クライアント・マネジメントにおける最大の難問だね。」

「そうだねえ。何か良い手はないものかなあ。」

と、溜息をつく私。これに対し、

「あるよ。」

と事も無げに笑うエリック。

「クライアントの担当者に、私個人としては是非ともやらせて欲しいんです、でもうちの上層部が黙ってないでしょうね、下手すりゃ私、クビになっちゃいますよ、そう言うんだな。」

「おお、なるほど。中古車セールスマンがよく使うテクニックだね。」

「その通り。ベタだけど、大抵の苦境はこれで切り抜けられるよ。ま、相手が自分を気に入ってくれてるという確信が無ければ使えない手だけどね。」

エリックは急に何か思い出したような顔になり、

「そういえば前のボスのクリスがさ、困った時には俺を悪者にしていいぞ、と言ってくれたことがあるんだ。で、すかさずこう答えたね。」

と笑いました。

“Thank you. I’m doing that all the time.”
「有難うございます。その手は使いまくらせてもらってますよ。」

2014年11月26日水曜日

Therapeutic 癒しのチカラ

久しぶりに休暇を取り、ソノマ・カウンティに来ています。ここは全米最大のワインの産地。ワイン商の友人マイケルの一家と一緒に、7人でのロードトリップ。ここ数か月間働きづめだった私にとって、これは待ちに待った骨休めです。なだらかにうねるブドウ畑の間を縫う細い道路をゆっくりと進みながら、巻ききったゼンマイがゆっくりとほぐれていくのを感じる日々。

到着した日曜日は、まず完全無農薬の農園を見学した後、「ゴッドファーザー」や「地獄の黙示録」で有名な映画監督、フランシス・フォード・コッポラ氏のワイナリーへ。

「ゴッドファーザー Part II」の開始15分、タホ湖に面したコルレオーネ・ファミリー邸でのパーティー場面が出て来ますが、そこでバンドが演奏していたステージを模した設えが、ワイナリーのプールサイドに作られています。

館内の壁面には映画で使われた本物のグッズや写真が展示されていて、コッポラオタクなら絶対外せないスポット。


二階のバーカウンターでワイン・テイスティングの後、一階のレストランへGo! 

牛ステーキ、ラム、サーモン、パスタ、と色々注文しましたが、どれひとつとっても絶品。デザートのパンナコッタに至るまで、皆で顔を見合わせていちいち絶賛してしまうほどの傑作です。アメリカでこんなに美味しい料理を出す店があったなんて!

余韻にひたりつつ、二階のゲストハウスへ移動。ここは一般公開されていないのですが、コッポラ氏と仲の良いマイケルのおかげで、一泊させて頂きました。

月曜の朝はレッドウッドの巨木が茂る森を散策した後、Paul Hobbs(ポール・ホブス)氏のワイナリーへ。私の妻はこの人のPino Noir (ピノ・ノワール)が大好きで、今年のバレンタインに一本プレゼントしたばかり。

収穫の終わったブドウ園を子供たちが駆け回って遊んでいる間に、大人4人は高級ワイン(シャルドネ、カベルネ・ソービニヨン、ピノ)のテイスティングを愉しみます。

その後、こじんまりした醸造所を見学。ピノは栽培も製造も非常に難しい品種で、良いワインを作るためには計算し尽くされた製造手順はもとより、作り手の強い情熱が不可欠だそうです。少しでも妥協すればたちまちクオリティが下がってしまう。

「ポールの下で働く私たちは皆、彼のワインに対する情熱と誠実な人柄に惚れ込んでいるんです。」

と案内してくれた女性が話してくれました。

スーパー下戸の私は、ちょっぴりだけ口に含んでうがいをするみたいにワインを口内に沁みわたらせ、それからおもむろに吐き捨てる、という動作を繰り返しました。これが非常にウマかった。後で聞いたら、最後のカベルネは一本175ドル。ひえ~!

その後、やぎや羊の飼育とチーズの製造をしている小さな農園、Toluma Farmを見学。若いスタッフ数人が楽しげに働いており、そのうちの一人クリスティは、この仕事に就く前はサクラメントのショッピングセンターで7年間、顧客サービスに従事していたとか。

「今の仕事のどんなところが好き?」

チーズを試食しながら彼女に尋ねたところ、

「毎日朝から晩まで動物達を相手にしてるでしょ。生まれたての赤ちゃんヤギの世話をしたりね。忙しいけど、人間関係から来るストレスが全然無いのよね。」

と答えてくれました。そして、こう結びます。

“It’s so therapeutic.”
「とってもセラピューティックなのよ。」

Therapeutic とは、「セラピー」の形容詞。「癒される」という意味ですね。実はこの旅行のスタート時から、「Relaxing(リラックスさせる、くつろげる)」では表現しきれない独特の感覚を伝えられる言葉をずっと探していたのです。やっとみつかりました。

“It’s so therapeutic.”
「とっても癒されるのよ。」

2014年11月20日木曜日

Sheepish 恥ずかしがり屋

ちょっとした会議、特に非公式の社内プレゼンなどでは、出席者が冗談交じりの質問やコメントをじゃんじゃんぶち込みます。アメリカで働き始めて12年、未だにこういう場面で活躍できずにいる私。トレーニングや正式な会議ではほぼ不自由なく発言出来るようになりましたが、語意の豊富さとクリエイティビティ、それにほんの少しの度胸に支えられた「気の利いた一言」を捻り出すのは、私にとってはまだまだハードルの高い技。もしも激しくスベったらどうしよう、という恐怖心が先に立ってしまうのですね。人によっては、他の人と声が被って発言出来なかった場合でも、ジョークを披露するまでくじけずに何度もトライします。たとえそれが「ややうけ」レベルの作品だとしても。すごいガッツ。

今日の夕方、生物環境保護の専門家であるエレンとアンドリューが、ハイウェイを横断しようとして轢死する動物たち(Road Kill)に関する調査結果を同僚たちに向けてプレゼンしました。動物が安全にハイウェイを横断出来るよう作られた地下トンネルが実際にどれだけ成果を上げているか、の確認調査です。モーション・センサー付きの赤外線カメラを数台設置し、トンネルの入口と出口でカシャッ!

結果、動物の種類によってその効果に差があることが分かったそうです。ボブキャットは躊躇なくトンネルを通るが、コヨーテは非常に用心深く、入り口付近を行ったり来たり。

こうしたプレゼンの合間に、聴衆は絶え間なく茶々を入れます。

「ハイウェイを調査してたら自分が車にはねられちゃったりして。」

「見つけた動物の死骸はどうやって料理したの?」

ひとつひとつはなんてことないジョークなのですが、皆タイミングが絶妙なのです。

このテーマに関する情報を集めたウェブサイトをスクリーンに映した時も、

「レシピのページに飛ぶリンクはどこ?」

と誰かが素早く突っ込みます。

プレゼンの中身は勿論のこと、私は同僚たちの創造的な参加姿勢にすっかり感心してしまい、自分のような英語学習者が出る幕じゃないな、と早々に参入を諦めてしまいました。

同僚ダグラスが、こんな話をシェアします。

「そう言えばこないだカナダへ出張した時、動物用に作られた横断橋を見たよ。トンネルじゃなく。ムースを対象にしてるんだって。」

するとプレゼンターのエレンが、

「最近になって、アメリカでもビッグホーンシープ用の横断橋が出来たのよ。国内初の試みだって。」

と答えます。ビッグホーンシープとは、カリフォルニアの砂漠地帯に出没する、巨大な角を備えた羊です。ここでアンドリューが、

「ビッグホーンは絶対トンネルを通らないんだ。」

と説明します。なんで?と私が尋ねると、エレンが、

「弱い動物で、いつも天敵の攻撃にさらされてるの。飛びぬけて用心深いから、暗くて狭い場所になんか入っていかないのよ。」

彼女が答えるのと同時に、私の左隣にいたトレイシーが何か発言し、これに群集がどっと沸きました。急いで彼女に何を言ったのか尋ねます。するとトレイシーが、

 “Because they are so sheepish.”
「とってもシーピッシュだから。」

と悪戯っぽく笑いました。シーピッシュ(恥ずかしがり屋)とシープ(羊)をかけたダジャレですね。


う~ん、うまい!

2014年11月14日金曜日

Were your ears ringing? 耳鳴りしてた?

先週金曜のランチタイムに、職場の休憩室で携帯が鳴りました。iPhone画面を見ると、オレンジ支社のヴィヴィアンから。ちょうど温まった弁当を電子レンジから取り出しつつ電話に出たところ、

「今、大丈夫?リチャードも一緒なんだけど、話せる?」

リチャードとは、南カリフォルニア建築部門のトップ。副社長です。

「いいよ。何?」

するとリチャードが、いきなり本題に入ります。あるPMを今日付けでクビにした。その人物が担当していた7件ほどのプロジェクトの面倒を見てくれないか?

「ええっ?」

私は既に、この部門で大規模プロジェクト二件をサポートしており、さらにはサンディエゴ空港のプロジェクトも三つ担当しています。長時間残業と休日出勤が恒常化して来ていて、長いこと絶縁状態にあった腰痛とも久しぶりによりを戻したところ。数年ぶりに出現した下唇の口内炎を噛んで出血もしました。身体が悲鳴を上げ始めていることは明らかで、心配の声が妻子から上がっています。ここで新たに7件も引き受けて良いものか?

「私の多忙さを承知の上での依頼なんですよね。ということは、他に候補者がいない、という状況だと推察しますが。」

「その通りなんだ。なんとか頼めないかな。」

「分かりました。成果のクオリティは保証出来ませんが、それでも良ければベストを尽くしますよ。」

「良かった。有難う!よろしく頼む!」

そんなわけで、既に「大車輪」状態を続けていたところへ、伸膝宙返り二回半ひねりも挿入するような事態になりました。現在、四つのオフィスに私の席が設けられ、各所に出没しては仕事をこなしています。

昨日もダウンタウン支社でひとつ仕事を終わらせて、大急ぎでメイン・オフィスに戻ったところ、同僚リチャード(副社長とは別人)がやって来てこう尋ねました。

“Were your ears ringing?”
「耳鳴りしてた?」

はぁ?耳鳴り?なんのこっちゃ?

「今さっき、マリアと一緒にサンドイッチ屋まで歩きながらシンスケの話をしてたんだよ。あちこち飛び回って大忙しだってね。」

「うん、滅茶苦茶忙しいよ。でも楽しいんだな、これが。君はどう?」

「僕もかなり忙しいけど、なんとかやってるよ。」

「最近、誰も彼もが多忙だね。」

「あのさ、皆に頼りにされるのはいいことだけど、どこかできっぱり断ることも覚えないと、そのうち手が付けられないくらいの仕事量を抱えて機能停止に陥るよ。」

う~ん、これは耳が痛い。いい友達だなあ。

「確かにそうだね。有難う。アドバイス、しかと受け止めたよ。」

リチャードの背中を見送った後、さっそく仕事をバッサバッサと片付けます。しかし突然、彼の口にしたフレーズが耳に蘇ります。Ears ringing(耳鳴り)?

「あのさ、さっき何て言ってたの?耳鳴りとか何とかいうフレーズを使ってたでしょ。」

彼のオフィスを訪ねて解説を求める私。

「ああ、あれはね、誰かの噂をすると、対象になった人の耳が鳴る、というフレーズだよ。」

「え?なんで?噂と耳鳴りとがどう繋がるの?」

「それは分かんないなあ。ただそう言うんだよ。」

ふ~ん、分からないのか。

「日本ではね、噂の対象になった人に、さっきくしゃみしてなかった?って聞く習慣があるよ。」

と私。

「え?なんで?どうしてくしゃみ?」

と驚くリチャード。

「う~ん、なんでだろ?それは分からないや。」


語源を調べて教えてあげようという気力が、二人とも全く湧かないのでした。いか~ん!

2014年11月8日土曜日

Darn it! だあね!

先日、出張中に若い同僚のジェイソンからメールが届きました。

“Do you agree?”
「どう思う?」

iPhone 画面をスクロールして行くと、同僚リチャードから彼に送られたメールが現れました。

「滅茶苦茶読みにくいよ。シンスケのトレーニングから何も学ばなかったの?」

さらにスクロールを進めたところ、添付書類を発見。ジェイソンがクライアント向けに書いたプロポーザル原稿でした。彼は複数のチームメンバーに意見を求め、これに対してリチャードがネガティブなコメントを書き寄越した、というわけ。

リチャードが持ち出した「シンスケのトレーニング」とは、前日のランチタイムに実施したもので、タイトルは「ヴィジュアル・コミュニケーションの技術」。30人近くの同僚たちを集め、効果的なビジネス文書の作り方を教えたのです。文書の構成技術、フォントの選び方、色が伝えるメッセージとその上手な使い方、見やすい表の作り方など、実例を交えて45分間プレゼン。大好評を頂きました。

さて、ジェイソンの原稿には繊細で女性的なタイプフェイスが使われていて、一見洗練された文書です。しかしこうしてページ一杯に拡がった流麗な文字はやや高慢な印象を作り出し、読み手の神経に障ります。それに数字の8や0の中心が何故か下がり気味にデザインされていて、大事な情報がすんなり頭に入って来ないのですね。

これらの点を指摘し、タイプフェイスを変えた方がいいんじゃないかというアドバイスのメールを送りました。するとジェイソンが、こう返信して来たのです。

“Darn it! Ok, thank you sir…”

Darn it」は「だあね」と「だるね」の中間くらいの発音で、昔、別の同僚エリカから、 “Damn it!”を柔らかくした表現だと説明されました。

この “Damn it!” (「ダメッ」と発音)は、ドラマ「24」のジャック・バウアーが多用していたセリフ。吹き替えでは「くそ!」になってました。これが「Darn it!」に転化すると意味はどの程度変容するのか?いくら現代っ子のジェイソンだって、人からアドバイスを受けておいて「くそ!」とは返さないと思ったのです。でもこのニュアンスを確認するチャンスが無いまま時が過ぎました。

今週、ランチタイムにオフィスの社員をほぼ全員集めてのミーティングがありました。来月に迫った引っ越しに関する最新情報を総務のヘザーが説明する、という趣旨。現在、同僚の多くはドア付の個室を与えられているのですが、全員平等にオープンオフィスへ移ります。隣接するデスクとの間の隔壁の高さは30センチほどで、プライバシーはほぼゼロ。ヘザーが冗談めかしてこう言います。

“No more Facebook. Everybody is going to watch your screen.”
「フェイスブックはもう出来ないわよ。みんなに見られちゃうからね。」

すると何人かの女性社員が、笑いながら一斉にこう反応したのです。

“Darn it!”

これでようやく、「だあね!」のニュアンスがつかめました。「あ~あ!」とか「ちぇっ!」ですね。

そんなわけで、ジェイソンの返信はこう訳せると思います。

“Darn it! Ok, thank you sir…”
「ちぇっ!了解。感謝です。」