2015年11月23日月曜日

Shanghaied 上海される

先週水曜はオレンジ支社へ日帰り出張。建築部門のブライアンと、来月の監査準備のことでミーティングしました。私がPMを務めるプロジェクトが三件ほど監査対象に挙がっているので、これをどうするか、という話。そのうち二つは実質的に終結してるので、システム内で正式に閉じてしまおう、という結論になりました。残り一件は監査対象外になることがほぼ確実だというので、ほっと一安心。

「ところでさ、なんで君がこんな取りまとめしてんの?前から監査の担当だったっけ?」

と尋ねる私に、首をゆっくり左右に振りながら溜息をつくブライアン。

“I got shanghaied in!”
「上海されちまったんだよ!」

彼の顔は上気し、いかにも憤懣やるかたなし、といった表情。

「ロスにいるコリー、知ってるだろ。ちょっと昔、同じ部署にいたことがあるんだよ。先週あのおっさんから電話が来て、監査の話題になったと思ったら、いつのまにか俺がオレンジ支社の取りまとめ係にされてたんだよ!」

以前から気が付いていたことですが、ブライアンというのは何かにつけて長々と文句を垂れるタイプの男で、彼の毒舌を日本語で吹き替える場合は、江戸っ子のべらんめえ口調がぴったり。

「あのさ、さっき何て言ったの?上海とか何とか。どうしてこの文脈で中国の地名が出て来るの?」

意表を突く質問だったようで、顔を紅潮させたまま黙るブライアン。

「ああ、それは本人の意思に関係なく連れて行く、つまり拉致するってことだよ。」

つまり、意訳するとこういうことですね。

“I got shanghaied in!”
「拉致られちまったんだよ!」

ブライアンの喋りのスタイルに、これほどお似合いの言い回しは無いなあ、と感心する私。

「でもなんで上海?そんな恐ろしい意味で自分とこの地名使われたら、住民は嫌な気分だろうね。」

「なんでかは知らねえな。ちょっと待ってろ。調べてみる。」

彼がネットで検索した結果、「かつて上海では船乗りを集めるのに合法的ではない手段を使った」というのが語源だと分かりました。

「な、俺がでっち上げた表現じゃなかったろ?」

と得意顔のブライアン。

翌日、サンディエゴ支社で残業していた同僚ポーラと世間話をしていた際、このエピソードを振ってみました。彼女は私の知る中で、最も上品なアメリカ人。

「今度のサンクスギビングには友人夫婦たちと皆でお料理した後、引き潮の時間帯に近くの砂浜を散歩する予定なの。」

という、何とも優雅な話題の後でしたが、こんな彼女でも「上海される」みたいな表現を使うことがあるのかどうかを知りたくなったのです。

「そうねえ、私は使ったことないわね。」

と微笑むポーラ。

「どういう意味かは知ってるの?」

と私。

「ええ、知ってるわ。こういうことでしょう。」

とポーラが別の表現を持ち出しました。

“I got roped in.”
「縄で縛られちゃったのよ。」


う~ん、さすがポーラ。お上品だぜ~。

2015年11月4日水曜日

ノーサイド

ラグビーワールドカップで日本が南アフリカ相手に劇的な勝利を遂げた翌朝は、フラストレーションが溜まりに溜まりました。職場の同僚たちに、「観た?昨日の試合、日本がさ!あの南アフリカをだよ!」と興奮して話しかけても、皆きょとんとしてるんです。シャノンはもちろん、リチャードもマリアもサラもエドも、「ラグビーって何?」くらいのレベル。ほんっとにアメリカ人って、アメフト一辺倒だもんなあ!

軍にいた頃ラグビー部に所属してたという話を以前本人の口から聞いたことがある巨漢の同僚アーロンに、最後の望みをかけてトライ。しかし、

「え?何のこと?」

と軽くいなされ、無念のホイッスル。帰宅してそれを妻子にこぼしても、イマイチ共感が得られません。ああ!誰かラグビー好きな人達ととことん話したいなあ!と溜息の夜でした。

さて、今週と来週はロスの本社にべったり出張。来年から世界の全支社で使用が開始される新PMツールのテスターとして約30名の社員が選抜され、私はアメリカ西海岸代表として出席。全米各地はもとより、香港、シンガポール、イギリス、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカ、と様々な支社から派遣された人々と会議室に缶詰めになり、朝から晩までトレーニングとテストを繰り返します。バグを発見したり、ユーザーインターフェイスの改善点を議論したりするのが今回のミッション。

休憩時間、南アフリカから来たという白人男性社員と廊下で立ち話をしていたら、ニュージーランド代表の男性社員二人が加わりました。おお、そうだ、この時を待ってたぞ!とワールドカップの話を持ち出します。

「いやあ、ラグビーの話がしたくても、アメリカ人は誰もノッて来なくって。この国じゃ、どえらいマイナー・スポーツだからねえ。」

と私。南ア代表の男は、眼鏡をかけた色白のインテリ風。スポーツマンとは程遠い外見だったのですが、

「日本はすごく強くなったよね。体格も大きくなったし、スピードもすごいよ。」

と静かに論評します。対南ア戦の話題を出したところ、

「ああ、あの日は街中どこへ行っても皆死んだように落ち込んでたよ。」

と答えました。ニュージーランド代表の二人(巨漢の白人と中肉中背で褐色の男性)は、優勝国らしい余裕綽々の笑顔で、日本がいかに強くなったかを述べました。南アの男は、エディ・ジョーンズ監督の殊勲に触れ、

「彼は今度南アに移ってストーマーズのコーチをするんだよね。」

と微笑みます。ニュージーランドの二人は、日本代表チームに所属する複数の選手名を挙げ、「彼等はニュージーランド出身なんだよ。」とコメントします。ニコニコしながらもこの三人、「ラグビー好きなのは当たり前。大事なのは知識の深さでしょ。」という威圧感を漂わせています。よ~し、ここは日本代表として負けていられないぞ、と気合を入れる私。

近年、各国のチーム力が拮抗して来たことに触れ、

2013年にスクラムのルールが改正されたのが大きかったかもね。」

と思い切ってカマします。これは、スクラムの際に離れた位置からぶつかるのではなく、まずプロップ同士がしっかりジャージをつかみあってから組む、という方法にルールが変わったことを指していたのですが、三人ともゆっくり頷いて、

「ぶつかる力よりも、組んでからの勝負になったからね。それより、余計な怪我が減って良かったよ。」

と微笑みます。おっと、みんなこれ知ってたか。やばい、もう出す札が無いぞ。「ラグビー好き」と言っても、松尾、平尾の頃の知識で食ってるだけだからなあ。

南アの男が、日本代表の躍進ぶりについて再び語り始めたので、私が

「今、世界ランキング12位くらいかな。」

と言うと、ニュージーランドの大男が、

「いや、10位まで上がってると思うよ。」

と訂正します。え?そんな数字もチェックしてんの?ちょっと前までは日本なんて世界ランキングの話題にも入らなかったからねえ、と私が笑うと、南アの男は冷静に、

1995年のワールドカップでは、ニュージーランド相手に14517で大敗してたくらいだからねえ。」

とコメントします。おお~っ!過去のゲームのスコアまで暗記してんのか!ニュージーランドの二人は、

「笛が鳴ると数秒後にはトライっていうのを際限なく繰り返す感じだったからね。あの試合は本当にすごかった。」

と笑顔。ううむ、こりゃ知識量の差が半端じゃないぞ。

聞けば三人ともプレー経験があり、「男子なら全員、四の五の言わずにラグビー部」という環境で育ったそうで、そりゃ太刀打ちできるわけがありません。日本代表の私は、ラグビー大国たちに完膚なきまでに叩きのめされ、すごすごと引き下がったのでした。その時ニュージーランドの大男が、上の方から優しい声でこう言いました。

「ラグビーの醍醐味はさ、試合が終わると同時に敵も味方も無くなって、良い試合だったねってお互いを称え合うところなんだよね。」

じわっと来ました。そうだ、この「ノーサイド」の精神が、自分がラグビーを愛する一番の理由なのかもしれないな、と思い出しました。ラグビー「あるある」合戦では完敗だったけど、強豪国の人々と楽しく語り合えたことで、とてもハッピーになったのでした。

2015年10月31日土曜日

When one door closes, another opens. 閉まる戸がありゃ開く戸あり

今年の春ごろから、私が所属するオレンジ支社で大きな組織改変が立て続けにありました。「苦境にある複数プロジェクトのPMをやってくれ」と去年私に要請して来た建築部門の副社長リチャードは早々に転勤し、後任のジョンも数カ月で異動。その他にも解任やら辞職やらが重なり、上層部は短期間にそっくり入れ替わってしまいました。当然、過去の経緯を知る者は誰一人いません。

「このシンスケという奴は一体何者だ?なんで環境部門の人間がうちのプロジェクトのPMをやっとるんだ?しかもどのプロジェクトも惨憺たる経営状況じゃないか!」

といった会話が背景にあるとしか思えない不躾な質問メールがバンバン届くようになって来て、ありゃりゃ、これはヤバいぞ、と思い始めました。そんなある日、建築部門のある男性からメールが届きます。私の担当していた中で唯一軌道に載り始めていたプロジェクトについて書かれています。そして、

「ここから先は俺がやるから。」

と、PMの座をさっさと奪って行ったのです。

漫画に出て来そうな展開。さすがの私もこれはコタエました。なんなんだ、一体?まるで街にさまよい込んだチンピラを見るような険しい目つきで、住民たちが家の扉をバタン、バタン、と閉めて行く感じ。砂煙舞う砂利道に立ちすくんで途方に暮れる、自称ヒーローの私。気づいた時には、軽いうつ状態に入っていました。酒が飲める体質だったら、街はずれのバーにでも入り浸って荒れていたことでしょう。

これは他部門への助太刀中に起きた話ですから、直属の上司であるクリスピンに相談してみたところでどうにもなりません。今の仕事に就いて初めて、出勤するのが楽しみじゃなくなりました。悶々と三カ月ほど過ごした後、このままでは本格的な病気になっちゃうぞ、という危機感から、元上司のリックに相談してみることにしました。これまでも、困った時には決まって突破口を見つけてくれた人なのです。

「今、この支社はぐちゃぐちゃだ。上層部の入れ替わりや組織変更が毎月のように起こっているのは知ってるだろう。クリスピンだって明日どうなるか分からないような状態だ。個人個人はシンスケの貢献に感謝していても、組織的な認知になっていない可能性は充分ある。今のままじゃ危険だな。」

リックとの話し合いの結果、サンディエゴ支社環境部門への転属を、トップのテリーに打診してみることにしました。テリーとは四年前から一緒に働いて来たし、彼女の管轄下にある巨大プロジェクトのPMを長々と務めた経験もあります。私のことを受け入れてくれるんじゃないか、という淡い期待を抱いて彼女に面会を申し入れました。

「もちろんよ!もっと早くそうすれば良かったのよ。この支社のプロジェクト・コントロールをもっと強化する必要があるから、あなたが来れば完璧。そもそもサンディエゴで働きながらオレンジ支社に所属するなんて、無理があったのよね。」

予想を超える温かい歓迎に、胸が熱くなりました。テリーの右腕であるマイクが私の上司になり、10月から晴れて新体制へ移行しました。部下のシャノンは、

「これで私達、名実ともに同じチームね!」

と大喜び。オレンジ支社で散々受けて来た冷たい仕打ちが、まるで嘘のようです。

同僚ディックとランチを食べていた際、事の顛末を話しました。

「暫くは本当につらかったけど、結果的に良かったよ。日本語に、捨てる神ありゃ拾う神ありっていう慣用句があってね。そういう心境なんだけど、これ、英訳が難しいんだよね。だって日本には八百万の神がいるけど、キリスト教にはそういうコンセプト無いでしょ。」

「そうだねえ。直訳しても一般のアメリカ人には理解されないと思うよ。」

とディック。

「似た意味合いの英語表現は無い?」

と尋ねると、彼が暫く考えてからこう言いました。

“When one door closes, another opens.”
「閉まる戸がありゃ開く戸あり。」

おお、それそれ!

ぴったりな言い回しを頂きました。


2015年10月23日金曜日

Before I turn into a pumpkin パンプキンに変わる前に

ハロウィンの季節がやって来ました。職場はオレンジとブラックを基調にした賑やかな飾り付けが施され、仕事場らしからぬワクワク感に満たされています。レセプション・エリアのコーヒーテーブルには巨大カボチャが三層に重ねられ、壁際にはカボチャ頭の案山子風わら人形が座らされています。息子が小さい頃は、我が家でも大きなパンプキンを買って来て糸鋸で目や口をくり抜き、お化けの頭を作って玄関先に飾ったものでした。これ、実は結構骨の折れる作業で、一個仕上げるのに一時間はかかります。しかも、三日も経つと内側が腐り始めるため、折角の力作もあっという間にゴミ箱行きなのです。

さて水曜日のこと、古参PMのゲーリーが、私の向かいで働くシャノンのところに仕事を頼みにやって来ました。聞くともなく聞いていたら、彼がこんな発言をしました。

“Can you do it before I turn into a pumpkin?”
「僕がパンプキンに変わるまでにやってくれるかな?」

ん?何だって?これ、よく聞く表現だぞ。ゲーリーが去った後、早速シャノンに意味を尋ねてみました。

「シンデレラの話、憶えてる?夜12時になったら魔法が解けて、馬車の乗り物部分がパンプキンに変わっちゃうでしょ。それが語源よ。」

「へえ~、そうなの。いやいや、ちょっと待って。語源はともかく、ゲーリーがどういうつもりでその表現を使ったのかを教えて欲しいんだよ。今ちょっとネットで調べたらGo to bed (就寝する)っていう訳が出てたんだけど、まさか自分が起きてる間に送ってくれって頼んだんじゃないよね?」

シャノンが笑って首を振ります。

「彼は来週からお休みに入るの。金曜を過ぎたら暫く連絡がつかなくなるから、それまでに仕上げて欲しいっていう意味で言ったのよ。」

「おお、そうか。眠りにつくとか休暇に入るとかで、これからコミュニケーションが取れなくなるような状況で使うイディオムなんだね?」

「そういうことね。」

「でもさあ、やっぱり納得行かないんだよね。ゲーリーは乗り物じゃないでしょ。人間がパンプキンに変わるっていうのは変じゃない?最初から魔法にかかってるわけでもないし。」

「ほんとだ。確かに変ねえ。」

これについてはシャノンも明確な回答を持ち合わせていなかったようで、黙ってしまいました。

よく考えてみれば、カボチャが馬車に変身するというのは日本人にとってはイメージの湧きにくい展開だと思います。これには少々解説が必要で、実はこっちのパンプキン、日本のカボチャと較べて異常に大きいのです。極端な場合は直径1メートルくらいのものまであります。さらに、これは数年前に生まれて初めて包丁を入れてみて分かったことなのですが、パンプキンって外皮から数センチの厚み分だけ硬く、残りはほとんど種と繊維なのです。この「中身スカスカ」巨大カボチャの存在が、おとぎ話の丸っこい馬車への連想に繋がっているのだと思います。

しかし、それでもやっぱり「魔法の馬車がカボチャに戻る」ことと「人がコミュニケーションの取れない状況になる」こととが繋がりません。これじゃ、使えるフレーズとして自分のモノに出来ないじゃないか…。
後で同僚ディックにセカンド・オピニオンを求めました。

「文脈次第で色んな解釈が出来る言い回しだね。休暇も就寝も当てはまらないケースだってあるよ。俺が引退するまでに頼むぜ、と冗談半分に言ったのかもしれないし。」

う~む。やっぱり馬車も魔法もしっくり来ないじゃないか…。仕方ないので、ここは思い切って意訳することにしました。

“Can you do it before I turn into a pumpkin?”
「僕がカボチャ頭になる前にやってくれるかな?」

どうでしょう?


2015年10月9日金曜日

Catch 22 キャッチ22

水曜のランチタイムに参加したトレーニングで、インストラクターの何気ない発言に、耳がピクッと反応しました。

“That’s a Catch 22.”
「それはキャッチ22(トゥエニィトゥ)だな。」

これ、会議などで半年に一回くらいは耳にする準頻出イディオムです。なのにこれまで、ちゃんと意味を理解せずに過ごして来ました。今回も残念ながら、どんな文脈で使われたのか不明なまま話が先へ進んでしまったので、後で若い同僚ジェイソンに解説をお願いしました。

「ずっと前に一回読んだだけだからうろ覚えなんだけど、確かジョセフ・ヘラーという人の書いた小説のタイトルが語源だよ。」

とジェイソン。著者名を記憶しているとは大したもんだ、と感心する私。

「確かこんな話だったと思う。大戦中、アメリカ空軍の兵士が何とかして隊から脱出したいと企んでる。頭が狂っていれば除隊出来るんだけど、狂っている人は自分の精神状態を正確に認識出来ないはずだから、自己申告は信用されない。狂ってないと言えば除隊出来ないし、狂っていると言っても除隊出来ない。どっちに転んでも望みは無い。この小説が売れてから、似たような状況に陥った時にキャッチ22という言葉が使われるようになったんだ。」

「なるほど、有難う。でもさ、何かぴんと来ないんだよね。今の世の中、そんな事態に陥ることなんてあるかなあ?」

「この会社には山ほどあるでしょ。」

「え?そうなの?じゃ、何か例を教えてよ。」

5秒ほど考えるジェイソン。勢いで山ほどあると言ってはみたものの、きっと何も浮かばないんじゃないか、と高を括っていたら、こんな答えが返って来ました。

「うちのグループ、ここ数年縮小傾向だろ。チームが小さいために、大きなプロジェクトが獲得できなくなってる。だから新規採用したいと上層部に相談したら、まずは新しいプロジェクトを獲って仕事が増えてからじゃないと人は雇えないって言うんだ。」

おお、それは確かにリアルな実例だ。

「他には?」

と、更にジェイソンを追い込む私。

「仕事量を増やすために新規プロジェクトを獲得せよ、と上層部に言われて顧客のところへ営業に行くだろ。当然、プロジェクトにかけられる時間が削られる。すると次の週、君の稼働率は先週落ち込んだぞ、もっとプロジェクトに時間をかけろ、とお叱りが飛んで来る。仕方なくプロジェクトばかりに時間を使っていたら、営業が出来なくて仕事量が先細りになる。」

すごいなジェイソン。よくもそんなにポンポン例が出せるもんだ

キャッチ22というのはつまり、二者択一のどちらを選んでも望む結果が得られないような状況を指す表現なのですね。日本語に無理やり訳すとすれば、「無限ループ」てなところでしょうか(ループは日本語じゃないけど)。

“That’s a Catch 22.”
「それは無限ループだな。」

「でもさ、それって抜け出す方法あるんじゃないの?」

と私。驚いた様子のジェイソン。不審な目で、私の顔をまじまじと見つめます。

“You can donate your own time!”
「サービス残業すればいいじゃん!」

軽いジョークのつもりだったのですが、ジェイソンは笑わず、顔をこわばらせてしまいました。所詮あんたも管理側の人間だな、という憮然とした表情。

この場合、「冗談だよ」と言い訳すれば、無粋で嫌味なおっさんとして見られるし、取り消さなければ取り消さないで、やっぱり嫌な野郎です。

キャッチ22、成立しました。


2015年10月2日金曜日

Are you pulling my leg? 脚引っ張ってる?

昨夜は、職場の同僚達と久々のJapanese Dinner Night(日本食の夕べ)。ダウンタウンの五番街にあるSushi Takaまで、オフィスから徒歩20分。エド、マリア、ジェフ、リチャード、ジェイソン、そしてサラが参加しました。多くのアメリカ人にとって、お寿司と言えば巻き物。

そんな彼らに本格的な「握り」をしっかり楽しんでもらおうと、まず盛り合わせを二皿注文しました。割と調子よくポンポン無くなって行ったのですが、気が付けば両方の皿にウニの軍艦巻きが残されています。遠慮残りかな、と思ってエドにすすめると、箸でちょっとつついて味見した後、ギブアップ。そうか、生ウニはアメリカ人にはハードル高いんだった、と思い出しました。

その後、はまちのかまだとか天ぷらなどを次々に注文。うまいうまい、と皆さん大満足の様子。

ディナー後半、ウェイトレスさんが、

「ほんの30分ほど前に到着したんですが、新鮮なエビはいかがですか?」

と勧めてくれたので、甘エビの握りを人数分注文しました。ところが、十分後に運ばれて来た皿を見て、一同騒然とします。下半身を切断されてすし飯の上に乗っけられた海老の上半身が、皿の上に四体並んで直立しているのです。

「レモンをかけて下さい。海老が暴れますよ。」

と微笑むウェイトレスさん。レモン汁をかけてみると、確かに脚やヒゲを動かしてバタバタともがきました。

「うそ。これ生きてるの?」

と私の隣に座ったサラが、こわごわ覗き込みます。

「この動きを見る限り、単なる反射じゃないな。本当にまだ生きてるよ。」

エンジニアらしく、冷静に分析するジェイソン。

「男の人って、こういうの好きよねぇ。」

と決めつけるマリア。

「あたし、とても食べられない。シンスケ、私の分も食べてくれる?」

と、サラが完全に拒絶します。

「なんで?残酷だから?これは、いかに素材が新鮮であるかのデモンストレーションなんだよ。」

「分かるけど、こんなの見せられたらちょっと…。」

私は、昔読んだ漫画「包丁人味平」に出て来た、「生きた鯛の身を上手に削ぎ落とし、骨になった姿で水槽の中を泳がせる」という職人のスゴ技について話しました。実際に映像でも見たことがあるので、「腕のいい料理人だけが持つ高等技術なんだって。」と説明すると、ずっと黙って聞いていたサラが、こう尋ねました。

“Are you pulling my leg?”
「私の脚、引っ張ってる?」

反射的に、テーブルの下に目をやる私。一瞬、向かい側に座ってるマリアがサラにいたずらしていて、私に濡れ衣を着せようとしているのかな、と思ったのです。いやだ、シンスケ、何言ってるの?と笑いだすサラ。

“That’s an expression!”
「そういう慣用句なのよ!」

おお、確かにそんな英語表現、習ったな。「脚を引っ張る」と日本語で言えば、「人の成功の邪魔をする」ことだけど、英語になると意味が全く違って来ます。

“Are you pulling my leg?”
「からかってるの?」

つまり、骨だけになって泳ぐ魚の話なんて信じられない、というわけです。いやいや、本当だよ、と力説する私。

そんなわけで、今回のイベントでも、「フシギな国ニッポン」のイメージをアメリカ人の皆さんにしっかり植え付けることになったのでした。

2015年9月28日月曜日

Blood Moon ブラッド・ムーン

昨日の晩は、友人の邸宅でパーティーがありました。皆既月食とスーパームーン(地球に最も近づいた月)が重なり、「ブラッド・ムーン(オレンジ色の満月)」という珍しい現象が起こるというので、皆で飲みながら鑑賞しようじゃないか、という企画。日本人六家族くらいが集合し、持ち寄った食べ物で腹ごしらえをしてから庭に出ました。

西の地平に夕日が落ちて間もなくのこと。東に連なる山の稜線の少し上、雲ひとつ無い紺色の夜空に、突然オレンジがかった大きな月が現れました。大人も子供も、どっと歓声をあげます。その後4時間ほどかけ、月の表面を覆っていた地球の影がじわじわと立ち退いて行く様子を鑑賞しました。そしてとうとう、興醒めするほど明るい満月に変身。このころには皆さん、若干飽きてしまった様子。

iPhone でたくさん撮影したものの、やはり月を写すというのは至難の業でした。なんだかピンポン玉を撮ったみたいになっちゃった。

途中、家主のBさんが思い出したように屋敷に戻り、どこかから担ぎ出して来たバズーカ砲のような巨大な天体望遠鏡で、代わる代わる月を観察するゲスト達。

「でかすぎて全部おさまらないや。」

望遠鏡ののぞき穴にiPhone を押し付けるようにして撮影した月は、表面のクレーターまで見えて感動でした。

「次は18年後だね。またみんなで集まろう!」

と盛り上がった私達。アメリカに来て15年。お月見は初めてです。10時半ごろさよならし、助手席と後部座席ですやすや眠る妻子と共に、しあわせ~な気分で家路につきました。


2015年9月24日木曜日

One thing after another 踏んだり蹴ったり

今朝早く、部下のシャノンからメールが届きました。

「昨日ジュリアが歯医者に行った時に色々あって、今日も別の医者のところへ行かなきゃいけなくなったの。出社は午後一番になると思う。」

ジュリアというのは高校生の娘さんです。この子は歯にまつわるトラブルに小さい頃から悩まされていて、これまでもシャノンは何度も会社を抜けて娘の歯医者通いをして来ました。昨日は、「インプラント」という手術の予定日だったのです。早退する前にシャノンは、

「あの子はこれでようやく、歯の問題を巡る長い旅に終止符を打てるのよ。」

と、安堵の溜息をついていました。

昼休みの中盤に現れた彼女に、何が起こったのか聞いてみました。

「昨日、施術前に3D X-ray(三次元レントゲン)を撮ってもらったのね。そしたら、インプラントを予定していたポイントの根元の間隔が7ミリ必要なところ、4ミリしか無いことが分かったの。このまま手術したら両脇の歯の根っこを駄目にしてしまうって。インプラントは取りやめて、一から矯正をやり直さなきゃならないって言うのよ。これを聞いたジュリアがね、いつもは年齢の割に冷静な子なのに、その場で泣き崩れちゃったの。これまで何年も辛い思いをしてたのが、一気に爆発しちゃったんだと思うのね。先生が困っちゃって、おろおろよ。」

虫歯知らずで歯医者ともほとんど縁のない私には、想像もつかない事態です。

「実は私自身も、最近色々あったのよ。話してなかったけど、貸し家にしてるアパートのガレージが、週末に火事を起こして大騒ぎだったの。それでなくてもここ数週間は連日夜遅くまでの残業でストレス溜まってたせいか、気が付いたら私もジュリアの隣で泣いてたの。」

歯医者の診察室で泣く母娘。これは医者にとってもなかなか衝撃的な光景だったことでしょう。シャノンが言います。

“It’s one thing after another!”

文字通り解釈すれば、

「次から次に色んなことが起こる。」

ですが、後で各種サイトをチェックしたところ、このThing Problem(問題)やDifficulties(困難)の意味で使われることが多いようです。

そんなわけで、シャノンが言いたかったのはこういうことですね。

“It’s one thing after another!”
「もう踏んだり蹴ったりよ!」

「でもさ、最新テクノロジーのお蔭で事前に問題が分かったんだから、手術が始まってから発覚するより良かったんじゃない?」

と私。

「そうなのよ。ジュリアにもそう言ったんだけど、あまり効果無かったわ。」

ま、そう言われて簡単に気持ちがおさまるくらいなら、初めから涙なんか流さないか。

「ヨーロッパじゃ、今この瞬間にも何万人という難民が命懸けで地中海を渡ってるでしょ。歯医者に通えるだけでもラッキーだっていう慰め方はどう?」

「それも言ったの。これはちょっと効き目あったみたい。ま、一旦泣き止んじゃったら腹が座ったみたいだけどね。これだけ色々大変な目に遭ったんだから、ここから先はきっと良いことだらけよ、って言ってあげたの。」

とシャノン。良いお母さんだなあ。

それから一時間後、私の隣にやって来て静かに腰を下ろした彼女が、呆れ顔と笑顔をミックスしたような複雑な表情で、こう言いました。

「今、フランクからテキストが入ったの。」

フランクというのは、シャノンの旦那さんです。

「ハッピーアニバーサリー(Happy Anniversary)って書いてあるの。一瞬何のことか分からなかったんだけど、よく考えたら今日って私達の結婚記念日だったのよ。もう、すっかり忘れてた。こんなの、信じられないわ!」

「踏んだり蹴ったり」はまだ終わりじゃなったのですね。ま、最後の一発は殺傷能力低いけど。


2015年9月12日土曜日

Get my ducks in a row. 準備万端整える。

数カ月前、オレンジ支社のブライアンとロングビーチの建築設計プロジェクトについて話し合っていた際、彼がうんざりした表情でこう言いました。

“Every time I try to get my ducks in a row, management would change everything.”
「アヒルを一列に並べようとすると、決まって上層部が全部ひっくり返すんだよ。」

過去一年間、オレンジ支社では度重なる組織改変で、ほぼ四半期毎にボスが交代しています。当然ながら事業方針は一貫性を欠き、PM達はこれに苛立ちを募らせているのです。ブライアンは知っている同僚の中でも、「笑いながら怒る人」の代表選手。口を開けば、「もうどうでも良くなった。ただ言われたことを黙ってこなして行くことに決めた。クビにするならどうぞしてくれ、という境地だ。」と、怒りに紅潮した笑顔で滔々と諦観を述べます。

私は同情を示しながらも、ずっとむずむずしながら彼の話に耳を傾けていました。

「ブライアン、ちょっと聞くけど、なんでさっきアヒルの話をしたの?」

彼が怒りの長口舌を締めくくるのを見計らって、恐る恐るこの疑問を彼にぶつけてみました。

「え?俺、アヒルの話なんかしたっけ?」

「ほら、アヒルを一列に並べるって言ってたじゃない。」

「あ、そのこと?」

途中で彼の話を遮らなかったことで、きっと満足していたのでしょう。下らない質問をしやがって、とムカつく様子もなく、説明してくれました。

「準備のためにOrganizeする(整理整頓する)ってことを言いたかったんだよ。会議とか旅行の前には、それがうまく運ぶように準備万端整えるだろ。」

「うん、そういう意味だろうことは何となく分かってた。僕が聞きたいのは、なんでそこでアヒルが出て来るのかってこと。」

ここでブライアンは、上を向いて黙ってしまいました。

「う~ん、考えたこともなかったよ。お母さんアヒルが子供たちを一列に並び従えてる状態から来てるんじゃないかな。本当の語源は知らないけど。」

それ以来、複数の人の口からこの表現が飛び出すのに出くわしました。もしかしたら、これまでも頻繁に使われていたフレーズなのかもしれません。イディオムというのはきっと、それと知るまでは、実際に使われていても聞き流しちゃうものなんですね。

先日、環境部門の同僚ディックに同じ質問をしてみました。

「俺の頭はその表現を聞くとすぐ、オーガナイズする、という言葉に自動変換しちゃうけどね。いちいち語源を考えてこのフレーズを使ってる人なんていないと思うよ。」

と笑うディック。

「だってさあ、どうしてもアヒルの家族が一列に進んでるイメージが頭に浮かんで来ちゃうんだよ。それがあんまりハッピーな映像なもんで、準備を整える、という意味に繋がる前に池の向こうに消えて行っちゃうんだよね。」

Kill two birds with one stone (一石二鳥) はどう?いちいち視覚イメージが浮かんでくる?」

「あ、そうだね、そっちは浮かばないや。不思議。Bird(鳥)と言うかDuck (アヒル)と言うかで随分インパクトが違うなあ。」

昼休みになり、キッチンのカウンターに座って弁当を食べていたら、向かい側にベテランPMのダグが座り、休日をどう過ごしたか、という話題になりました。

「息子たちを連れて、猟に行ったよ。」

彼は素早く周囲を見渡し、我々の会話が聞こえる範囲に他の社員がいないことを確認します。この支社には生物環境保護を専門にしている社員が大勢いて、狩猟の話題は快く受け入れられない可能性が高いのです。

「今回は何が獲物だったの?」

と私。前回は鹿狩りだったのは知っていました。うちの息子と同い年の彼の末っ子が、死んだ鹿の首に腕を回してニッコリ笑ってる写真を見せてもらったので。

「今回は鳩(Doves)だよ。散弾銃で撃った。その後皆でバーベキューさ。」

「鳩ってどんな味がするの?」

「ちょっとレバーっぽいね。でも美味いよ。」

「手羽先とか?」

「いやいや、羽の部分には肉なんか無いよ。食べるのは胸だけだね。こうやって皮を剥いてから肉をはずすんだ。」

彼は両手で何かをひっくり返すジェスチャーをしてくれたのですが、動物を捌いた経験の無い私には、全く想像がつきません。

「散弾銃の破片が肉に食い込んでることがあるから、気を付けて食べなきゃいけないんだ。」

そしてキッチンカウンターに誰かが広げてあった新聞の記事を指さし、

「このoという活字くらいの大きさしか無いから、なかなか気付きにくいんだけどね。舌の上で肉を転がしてチェックしてから飲み込むんだ。」

彼は口をもぐもぐ動かしてから、ぺろっと舌を出す真似をしました。

私は急に思い出して、Get my ducks in a row の語源について尋ねてみました。彼はちょっと考えてから、こう答えました。

「弾丸を無駄にしたくない猟師が、一発で複数のアヒルを殺せるように、自分から見て縦一列に並んだ状態になるような場所で銃を構えることだと思うんだけど…。違うかな。」

あらためて、キョロキョロと周囲を確認するダグでした。

2015年9月5日土曜日

日本人あるある

先日の夕方、二つ上のフロアで働いている同僚マリアがやって来ました。

「最近うちの階に全然顔出さないじゃない。」

と、のっけから詰り口調。

「そっちこそ、ちっとも降りて来ないじゃん!」

とすかさず応戦すると、

「何で来たかっていうとね、日本食を食べる会をそろそろまた企画してよって言いたかったの。」

と、子供がおねだりするような目で笑います。

「あ、その話か。」

前のオフィスにいた頃は、仲間と連れ立って時々地元の日本食レストランでディナーを楽しんだものです。これが意外と人気のイベントで、皆の超乗り気な反応に毎度驚かされていました。同僚たちに会う度に、次の会はいつ?とせかされるほど。

「分かった。じゃ、9月の終わりくらいに企画しよっか。」

「やったぁ!インビテーション送ってよ!」

私が招待状を送るまでその場を去らないぞ、という圧を感じたので、「日本食ディナーを楽しむ会」と銘打ち、会場未定のまま仲間たちへ一斉メールを送信。すると、間髪入れずに「参加します」という返事が届き始めました。これを見届けてから、マリアが満足げに去って行きました。

翌日、若手PMのサラと打合せを始めた際のこと。彼女が目を輝かせ、

「シンスケからの招待メールを開けた時は、ものすごく興奮しちゃったわよ!」

と顔を上気させたので、

「それは良かったね!」

と答えつつ、何か腑に落ちない感じを味わっていました。みんなどうしてそこまで喜ぶのかな?そんなに日本食が好きならレストランを探して自分で足を運べばいいわけだし、ただ同僚達とわいわい集まるのが楽しいというのなら、こないだ地ビールの店に皆で繰り出した時だって同じくらい盛り上がってても良かったはずだし。ほんと、不思議。そもそも、一般のアメリカ人が日本や日本人に対してどういうイメージを抱いているのか、いまいちつかめないのです。

数年前、一時帰国から戻ったばかりの私が同僚達を集めて30分ほど土産話をプレゼンしたところ、のめり込むように聞いていた同僚のスーが、

「へえ、中国ってそういう感じだったんだ!」

と思いっきり国名を間違えてコメントして来たのに言葉を失ったこともありました(周りの誰もスーに突っ込まなかったこともショックでした)。アメリカ人にとって、アジアは十把一絡げなんだなあ、と実感した次第。

そんな経験も手伝って、日本に対するアメリカ人の関心がどの程度のものなのか、今でも良く分からないでいるのです。そんな感じで「日本食ダイスキ」とか言われてもねえ…。

ちょっと前、日本通の同僚ダグが、厚木基地のプロジェクトに携わって暫く東京周辺に滞在していた頃の思い出を語ってくれました。ヤクザが介入しようとして揉めた事件とか、新幹線に乗る時に日本人乗客がビールを飲みながらタコの脚の切り身にかじりつくのを見てゾッとした話とか(アメリカ人の多くはタコを食べないので)。

「日本人男性が職場で奥さんに電話をかける時って、誰でも同じことを同じ声で言うよね。」

と、嬉しそうに話すダグ。

「え?そう?そんなこと無いと思うけど。みんな何て言ってた?」

この藪から棒な指摘には全く思い当たる節が無く、私は首を傾げてしまいました。するとダグは受話器を耳に当てたジェスチャーで口を小さく開き、若干鼻にかかったような声でこう言ったのです。

「むしむ~し。」

職場での私用電話だから周りに気を遣ってるんだよ、だからそういう発音になっちゃうの、と解説する私。これまで十回以上日本へ出張して来た彼にとっての「日本人あるある」が「むしむ~し」だというのは、なんともやり切れない話でした。

さて、こないだの週末は、日本人の友人宅(豪邸)でホームパーティーがありました。毎年8月最後の土曜日に開かれる宴で、今年も百人近い老若男女が集い、楽しく飲み食いしました。遠くに海を臨む巨大な裏庭の一角に立ち、日本人配偶者を持つ白人男性二人(リーとアンディ)と談笑していた際、日本人の特徴の話題になりました。日本に住んだこともある二人は、一般のアメリカ人よりも遥かに大和文化に慣れ親しんでいるはず。そんな彼らからどんな「日本人あるある」が飛び出すか、これは期待出来そうだぞ、とワクワクしていました。

「日本人ってさ、簡単にイエスを言いたくはないけど結局は同意せざるを得ない状況だと、喋る前に歯の間から思い切り息を吸い込むよね。」

と、リーが切り出します。

「はっ?」

何を言っているのかなかなか理解出来ない私。それまで口数が少なかったアンディが、これに食いつきます。

「そうそう、しょっちゅう聞くね。やりましょう、やるにはやるけどでもねえっ、て感じの気の進まない状況でね。」

そして二人同時に、ちょっと顎を上げ気味で首を傾げ、閉じた歯の間から息を吸い始めました。

え?それが日本人のイメージ?

歯を食いしばって大きく口を横に開き、スースー音を立てながら何度も息を吸い込む白人男性二人を前に、よく分からないけどこれから頑張っていかなきゃな、と思う私でした。