週末に夫婦で、“Up In the Air” というジョージ・クルーニー主演の映画を観ました。全米の企業を飛び回り、従業員に解雇を告げるのが彼の仕事。誰もやりたくない汚れ役を外部の人間が演じるというわけ。
「私は17年間も真面目に働いて来たのよ。明日からどうしろっていうの?」
「お前は一体何様なんだ?初対面のお前にどうしてこんなことを言われなきゃならんのだ?」
などと罵倒されながら一人ずつ引導を渡す。解雇通告を受けた社員がよく使っていた表現が、
“Just like that?”
簡単な表現なんだけど、今ひとつ使い方が飲み込めない。ネットで調べると、「あっけなく」とか「やすやすと」とあります。映画に出てきた状況から考えると、
「それでおしまい?そんな簡単に片付けられちゃうわけ?」
という意味でしょう。他にどんな状況で使えるのかな、と思って今朝同僚のリチャードに聞いてみました。この手の質問にすばやく答えられる人って稀なんだけど、彼も唸って考え込んでしまいました。
「もしかして、長年付き合ってきた彼女に、他に好きな人が出来たから別れてくれって言ったら、Just like that? って言われる?」
と尋ねたところ、
「それだそれ!それこそぴったりなシチュエーションだよ。長期間かけて関係を築き上げて来たのにあっさりと別れを切り出されたら、そう言うよね。解雇シーンよりよっぽどしっくり来るよ。」
と、やや興奮気味に承認されました。
というわけで意味は良く分かったけど、使える場面にこの先巡り合うかどうか疑問な表現です。
2010年8月23日月曜日
2010年8月21日土曜日
アメリカで武者修行 第21話 感情なんて関係ない。
話は少しさかのぼり、3月半ばのこと。設計JVの片割れであるPB社のシアトル支社から、プロジェクトマネジメントのスゴ腕が送り込まれてきました。この男ジムは、十秒話しただけでその切れ者ぶりが嫌でも相手に伝わってしまうタイプ。頭脳明晰、たちどころに問題の本質を見抜き、微塵の迷いも見せずに決断します。アメリカ人の中でも図抜けてゴール・オリエンテッド(目標達成志向)な人物。常に「我々が達成しなければならないのは何か」を皆に問いかけ、組織のふらつきを正すのです。しかも底抜けに明るく、ウィットに富んだジョークで始終まわりを爆笑させてくれます。彼が来てからというもの、組織全体に活気がみなぎり、停滞していた事案も少しずつ動き始めました。彼の役割は、設計業務のスケジュールを管理し、何か問題があればそれを解決すべく動く、といったものらしいです。
そのジムが、ある時私がまとめた資料をいたく気に入り、それからというもの、私によく仕事を頼むようになりました。そして5月の中旬、マイク、グレッグ、リンダ、ケヴィンと開いたチームミーティングの席上、
「元請けとの変更交渉の資料作成は、これからはシンスケに任せようじゃないか。」
と彼が強く主張した結果、マイクの口から曖昧なOKが出て、下請け担当の私が突然、設計業務全体を見渡す仕事の責任者になってしまいました。彼は会議後、興奮した面持ちで私のキュービクルへやって来て、この仕事は組織の命運を握っている、元請けにうんと言わせるには完璧なドキュメント作りが決め手になるんだ、と業務の重要性を説きました。
「今はリンダがこの仕事の責任者だけど、彼女は所詮弁護士だ。技術的な視点が抜け落ちている。だからこそ、エンジニアのシンスケが適任なんだ。」
私にとって、これは願ってもないチャンス。この仕事で実績を残せば次のステップが見えてくるからです。ところがこの会話を傍で聞いていた老フィルがやってきて、
「彼はわしに何の断りもなく君に業務命令を出したようだな。」
とおかんむり。確かに直接の上司であるフィルを通さず仕事を引き受けたのはまずかったなあと思いましたが、ジムは気にもかけません。
「他人の声なんか気にするな。今はシンスケがこの仕事の親分なんだ。」
フィルに気を遣いながらも私は少しずつ資料作りを開始し、段々と形が出来てきました。設計業務には、予定外に発生する仕事がつきもの。元請けの担当者が会議で気まぐれな指示を出し、作業開始から2週間後に前言撤回するなんてケースは日常茶飯事。これをすべてきちんと文書化し、誰がいつどこでどういう指示をしたか、また何故それが契約対象外なのか、また業務に見合った労務費請求の根拠はかくかくしかじか、そういう資料を作るのはかなり骨の折れる仕事。聞き込み調査をする刑事さながらです。
そしてどうにかこうにか方法論が固まってきたある日、マイクから電話がありました。
「ちょっと来てくれないか。」
彼のオフィスを訪ねたところ、マイクが席についたまま目で入室を促します。リンダとグレッグが無言で立っていました。リンダは少しうつむき加減で壁にもたれています。張り詰めた空気。マイクが沈黙を破りました。
「何がどうなっているのか、俺にはさっぱり分からん。変更管理の仕事はずっとリンダがリードしてきたんだ。ジムが何を言ったか俺は知らんが、シンスケはこれまで通りリンダの指示を受けて動いてくれ。」
これにはさすがに意表をつかれ、一瞬言葉を失いました。しかし反射的に「分かりました」と答えていました。さらにマイクはリンダの方を向き、
「今シンスケに手伝って欲しいことはないか?」
と尋ねました。
「何もないわ。私ひとりで仕切れるわよ。」
床の一点を凝視したまま、機械の音声のような冷たい調子で彼女が答えました。
「グレッグは?何か言うことはないか?」
「私は何も。」
とグレッグ。
「そういうわけだ。リンダの指示を待て。」
マイクはそう言って私を下がらせました。
自分のキュービクルに戻り、たった今何が起こったかのかを冷静に考えてみました。「ジムがシンスケを使って私の仕事を奪おうとしている」とリンダが激怒し、マイクがそれをなだめるために私を外した、そんなところでしょう。
数時間後、リンダが席を外すのを待っていたかのように、マイクがこっそり私のキュービクルへやって来ました。そして小声でこう言ったのでした。
「さっきは悪かったな。ほとぼりが冷めるまで、暫く様子を見てくれ。」
翌日私はジムのところへ行き、
「もう聞いたかもしれないけど、僕は干されたから。やっぱりリンダがこの仕事のリーダーだし、彼女は誰の助けも必要ないってさ。」
と伝えました。ジムは心底驚いたようで、椅子から勢いよく飛び上がり、
「彼女と話してくる。」
とスタスタ歩き始めました。私は慌てて彼を制し、
「ちょっと待って。今彼女と話しても無駄だと思うよ。領域を侵されたことで感情的になっているからね。」
と言いました。彼は、気は確かか?といった表情で、
「感情なんて関係ない。俺達は今ビジネスの話をしてるんだ。これが正しいやり方だということくらい、彼女にも分かるはずだ。」
と言いました。
「それでもまずはマイクと話した方がいいと思うけど。」
と私が言うと、
「分かった。それじゃあマイクと話してくる。」
と急ぎ足で去って行きました。数分後に戻ってきた彼は、
「マイクはシンスケを外したわけじゃないよ。ただリンダの怒りがおさまるで待てってさ。」
と私に告げました。
そして翌週、六月最初の金曜日。夕方になって帰り支度をしていた私のところへ、ケヴィンが来て言いました。
「聞いたか?ジムに解雇通知が出た。来週一杯でクビだってさ。」
まさか先週のことが原因で?といぶかりましたが、知る術もありません。
「今日の晩、ジムとビールを飲みに行く予定なんだ。その時詳しく事情を聞いてみるよ。」
翌週月曜の朝、ジムの解雇原因についてさっそくケヴィンに尋ねました。
「どうやら、サンディエゴに異動になった時の強気な報酬交渉が祟ったようだな。役員を怒らせたのが直接の原因だろうって彼は言ってたよ。」
クビになった当人が本当の解雇理由を分かっているかどうかは、怪しいところです。しかし彼のこれまでの言動からして、上司とぶつかることなどいくらでもあるでしょう。ジムのような男の人生には、こういう事件がつきものなんだろうなと思いました。
「彼、落ち込んだり荒れたりしてた?」
とケヴィンに尋ねると、
「それが全然なんだ。次の目標は、来週の月曜までに新しい会社で仕事を始めることだ、と息巻いてたよ。」
どこまでもゴール志向な男だよなあ、と二人で笑いました。
そんなわけで、我々は有能な人材を一人失い、彼の残した仕事を引き取ったケヴィンは大忙しになりました。私もそのあおりを食って残業続きの毎日に…。
ちなみに当のジムは、解雇の一週間後には次の会社で仕事を始めたそうです。
そのジムが、ある時私がまとめた資料をいたく気に入り、それからというもの、私によく仕事を頼むようになりました。そして5月の中旬、マイク、グレッグ、リンダ、ケヴィンと開いたチームミーティングの席上、
「元請けとの変更交渉の資料作成は、これからはシンスケに任せようじゃないか。」
と彼が強く主張した結果、マイクの口から曖昧なOKが出て、下請け担当の私が突然、設計業務全体を見渡す仕事の責任者になってしまいました。彼は会議後、興奮した面持ちで私のキュービクルへやって来て、この仕事は組織の命運を握っている、元請けにうんと言わせるには完璧なドキュメント作りが決め手になるんだ、と業務の重要性を説きました。
「今はリンダがこの仕事の責任者だけど、彼女は所詮弁護士だ。技術的な視点が抜け落ちている。だからこそ、エンジニアのシンスケが適任なんだ。」
私にとって、これは願ってもないチャンス。この仕事で実績を残せば次のステップが見えてくるからです。ところがこの会話を傍で聞いていた老フィルがやってきて、
「彼はわしに何の断りもなく君に業務命令を出したようだな。」
とおかんむり。確かに直接の上司であるフィルを通さず仕事を引き受けたのはまずかったなあと思いましたが、ジムは気にもかけません。
「他人の声なんか気にするな。今はシンスケがこの仕事の親分なんだ。」
フィルに気を遣いながらも私は少しずつ資料作りを開始し、段々と形が出来てきました。設計業務には、予定外に発生する仕事がつきもの。元請けの担当者が会議で気まぐれな指示を出し、作業開始から2週間後に前言撤回するなんてケースは日常茶飯事。これをすべてきちんと文書化し、誰がいつどこでどういう指示をしたか、また何故それが契約対象外なのか、また業務に見合った労務費請求の根拠はかくかくしかじか、そういう資料を作るのはかなり骨の折れる仕事。聞き込み調査をする刑事さながらです。
そしてどうにかこうにか方法論が固まってきたある日、マイクから電話がありました。
「ちょっと来てくれないか。」
彼のオフィスを訪ねたところ、マイクが席についたまま目で入室を促します。リンダとグレッグが無言で立っていました。リンダは少しうつむき加減で壁にもたれています。張り詰めた空気。マイクが沈黙を破りました。
「何がどうなっているのか、俺にはさっぱり分からん。変更管理の仕事はずっとリンダがリードしてきたんだ。ジムが何を言ったか俺は知らんが、シンスケはこれまで通りリンダの指示を受けて動いてくれ。」
これにはさすがに意表をつかれ、一瞬言葉を失いました。しかし反射的に「分かりました」と答えていました。さらにマイクはリンダの方を向き、
「今シンスケに手伝って欲しいことはないか?」
と尋ねました。
「何もないわ。私ひとりで仕切れるわよ。」
床の一点を凝視したまま、機械の音声のような冷たい調子で彼女が答えました。
「グレッグは?何か言うことはないか?」
「私は何も。」
とグレッグ。
「そういうわけだ。リンダの指示を待て。」
マイクはそう言って私を下がらせました。
自分のキュービクルに戻り、たった今何が起こったかのかを冷静に考えてみました。「ジムがシンスケを使って私の仕事を奪おうとしている」とリンダが激怒し、マイクがそれをなだめるために私を外した、そんなところでしょう。
数時間後、リンダが席を外すのを待っていたかのように、マイクがこっそり私のキュービクルへやって来ました。そして小声でこう言ったのでした。
「さっきは悪かったな。ほとぼりが冷めるまで、暫く様子を見てくれ。」
翌日私はジムのところへ行き、
「もう聞いたかもしれないけど、僕は干されたから。やっぱりリンダがこの仕事のリーダーだし、彼女は誰の助けも必要ないってさ。」
と伝えました。ジムは心底驚いたようで、椅子から勢いよく飛び上がり、
「彼女と話してくる。」
とスタスタ歩き始めました。私は慌てて彼を制し、
「ちょっと待って。今彼女と話しても無駄だと思うよ。領域を侵されたことで感情的になっているからね。」
と言いました。彼は、気は確かか?といった表情で、
「感情なんて関係ない。俺達は今ビジネスの話をしてるんだ。これが正しいやり方だということくらい、彼女にも分かるはずだ。」
と言いました。
「それでもまずはマイクと話した方がいいと思うけど。」
と私が言うと、
「分かった。それじゃあマイクと話してくる。」
と急ぎ足で去って行きました。数分後に戻ってきた彼は、
「マイクはシンスケを外したわけじゃないよ。ただリンダの怒りがおさまるで待てってさ。」
と私に告げました。
そして翌週、六月最初の金曜日。夕方になって帰り支度をしていた私のところへ、ケヴィンが来て言いました。
「聞いたか?ジムに解雇通知が出た。来週一杯でクビだってさ。」
まさか先週のことが原因で?といぶかりましたが、知る術もありません。
「今日の晩、ジムとビールを飲みに行く予定なんだ。その時詳しく事情を聞いてみるよ。」
翌週月曜の朝、ジムの解雇原因についてさっそくケヴィンに尋ねました。
「どうやら、サンディエゴに異動になった時の強気な報酬交渉が祟ったようだな。役員を怒らせたのが直接の原因だろうって彼は言ってたよ。」
クビになった当人が本当の解雇理由を分かっているかどうかは、怪しいところです。しかし彼のこれまでの言動からして、上司とぶつかることなどいくらでもあるでしょう。ジムのような男の人生には、こういう事件がつきものなんだろうなと思いました。
「彼、落ち込んだり荒れたりしてた?」
とケヴィンに尋ねると、
「それが全然なんだ。次の目標は、来週の月曜までに新しい会社で仕事を始めることだ、と息巻いてたよ。」
どこまでもゴール志向な男だよなあ、と二人で笑いました。
そんなわけで、我々は有能な人材を一人失い、彼の残した仕事を引き取ったケヴィンは大忙しになりました。私もそのあおりを食って残業続きの毎日に…。
ちなみに当のジムは、解雇の一週間後には次の会社で仕事を始めたそうです。
2010年8月20日金曜日
Segue セグウェイ?
クライアントへのプレゼンのため、来週サクラメントまで出張することになりました。社外でプレゼンするのは4年ぶり。しかも今回はプレゼンチームの主役です。クライアントは、組織をあげてプロジェクトマネジメントのプロセスを統一しようとしていて、コンサルタント・チームを募集しています。彼らがPMBOK Guide に基づいたシステム作りを目指しているため、PMPの資格を持っている私に白羽の矢が立ったというわけ。
今週、サクラメント支社のチーム(誰とも会ったこともなければ、話すのも今回が初めて)と電話で何度か打ち合わせして来たのですが、コーディネータ役のデニスがパワーポイントのページをめくりながら、電話の向こうでこんな表現を何度か使いました。
This will セグウェイ into 〇〇.
セグウェイ?あの「世紀の大発明」とか言われながら鳴り物入りで登場したものの、まったく流行らなかった風変わりな乗り物のこと?
さっそくオンライン辞書でSegway を調べたのですが、名詞しか見つからない。他のスペルを色々試すうちに、ようやくSegue と綴るのが正しいことを知りました。
もともとはイタリア語で、楽曲が切れ目なく続くことを指すらしいのですが、それが転じて「滑らかに切れ目無く移行する」という意味になったようです。なるほどね。乗り物のSegway 、あの独特な動き方はまさにSegue だな。
A segues into B.
A が滑らかにB へ移行する。
いいじゃん。実にクールな表現だ。
今週、サクラメント支社のチーム(誰とも会ったこともなければ、話すのも今回が初めて)と電話で何度か打ち合わせして来たのですが、コーディネータ役のデニスがパワーポイントのページをめくりながら、電話の向こうでこんな表現を何度か使いました。
This will セグウェイ into 〇〇.
セグウェイ?あの「世紀の大発明」とか言われながら鳴り物入りで登場したものの、まったく流行らなかった風変わりな乗り物のこと?
さっそくオンライン辞書でSegway を調べたのですが、名詞しか見つからない。他のスペルを色々試すうちに、ようやくSegue と綴るのが正しいことを知りました。
もともとはイタリア語で、楽曲が切れ目なく続くことを指すらしいのですが、それが転じて「滑らかに切れ目無く移行する」という意味になったようです。なるほどね。乗り物のSegway 、あの独特な動き方はまさにSegue だな。
A segues into B.
A が滑らかにB へ移行する。
いいじゃん。実にクールな表現だ。
2010年8月19日木曜日
Gospel 金科玉条
先日のトレーニングで、インストラクターのロンが使っていた英語表現をもう一丁。
Don’t take it as gospel. It’s more of a point of reference.
絶対正しいと思わないで下さい。むしろひとつの評価基準です。
このgospel(ゴスペル)って、ずっと音楽のジャンルだと思ってました。ゴスペラーズってグループもいることだし。キリスト教の福音書のことだったとは…。いや、知ってたな。知ってたけど忘れてた。As gospel で、絶対正しい、金科玉条の、という意味になるので、俺の言ってることをまるごと信じるなよ、と断りを入れる時に使えます。
大事なのは、冠詞無しで使うってことですね。As a gospel とは言わない。福音書はこの世にひとつなので(たぶん)。
Don’t take it as gospel. It’s more of a point of reference.
絶対正しいと思わないで下さい。むしろひとつの評価基準です。
このgospel(ゴスペル)って、ずっと音楽のジャンルだと思ってました。ゴスペラーズってグループもいることだし。キリスト教の福音書のことだったとは…。いや、知ってたな。知ってたけど忘れてた。As gospel で、絶対正しい、金科玉条の、という意味になるので、俺の言ってることをまるごと信じるなよ、と断りを入れる時に使えます。
大事なのは、冠詞無しで使うってことですね。As a gospel とは言わない。福音書はこの世にひとつなので(たぶん)。
2010年8月18日水曜日
White Elephant ありがた迷惑な贈り物?
月曜、火曜と二日間、社外トレーニングを受けて来ました。Practical CPM Scheduling というのがテーマで、Primavera(プリマベーラ)というソフトウェアの上級コースです。社内でエキスパートを名乗って来た私ですが、このトレーニングの後、自分は何も分かってなかったんだなあ、と目の覚める思いがしました。
熟練インストラクターのロンは、私が抱えていた無数の疑問を悉く解消してくれて、鼻づまりがすっかり治ったような爽快な気分でした。今回悟ったのですが、聞きたいことが山ほどあると授業中眠くならないんです(昔から私は、大抵の授業で居眠りしてました)。眠い授業にしない秘訣は、生徒が疑問で頭を一杯にして臨むことだ!
さて、ロンが授業の中で使った英語表現に、こんなのがありました。
Primavera is another white elephant for IT people.
IT担当者たちにとってプリマベーラは、またも現れたWhite Elephant なんだ。
何?白い象?なんのこっちゃだったので、帰宅してすぐ調べました。「厄介者」、「無用の長物」という訳が一般的のようですが、Wikipediaの語源を読む限りでは、この和訳はちょっとズレてる気がします。東南アジアで繁栄の象徴とされている白い象。これを君主から贈られることは名誉であると同時に、迷惑なことだった。死なないように大事に育てなければならないし、大量のエサが必要なので膨大なコストがかかる。私はこれを、「ありがた迷惑なギフト」と訳したいと思います。
マリアにこの話をしたら、
「シカゴにホワイトエレファントっていうお店があったわよ。家具だとか電化製品とかがわんさか売られてるの。」
と。ついに見切りをつけられた「白い象たち」の集合場所。我が家にはそういうブツ、無いなあ。
熟練インストラクターのロンは、私が抱えていた無数の疑問を悉く解消してくれて、鼻づまりがすっかり治ったような爽快な気分でした。今回悟ったのですが、聞きたいことが山ほどあると授業中眠くならないんです(昔から私は、大抵の授業で居眠りしてました)。眠い授業にしない秘訣は、生徒が疑問で頭を一杯にして臨むことだ!
さて、ロンが授業の中で使った英語表現に、こんなのがありました。
Primavera is another white elephant for IT people.
IT担当者たちにとってプリマベーラは、またも現れたWhite Elephant なんだ。
何?白い象?なんのこっちゃだったので、帰宅してすぐ調べました。「厄介者」、「無用の長物」という訳が一般的のようですが、Wikipediaの語源を読む限りでは、この和訳はちょっとズレてる気がします。東南アジアで繁栄の象徴とされている白い象。これを君主から贈られることは名誉であると同時に、迷惑なことだった。死なないように大事に育てなければならないし、大量のエサが必要なので膨大なコストがかかる。私はこれを、「ありがた迷惑なギフト」と訳したいと思います。
マリアにこの話をしたら、
「シカゴにホワイトエレファントっていうお店があったわよ。家具だとか電化製品とかがわんさか売られてるの。」
と。ついに見切りをつけられた「白い象たち」の集合場所。我が家にはそういうブツ、無いなあ。
2010年8月16日月曜日
アメリカで武者修行 第20話 そう簡単にドジは踏まないよ
2003年5月2日、大統領が戦闘終結宣言を行ったというニュースが流れました。イラク戦争が事実上終わったということです。幸運にも戦争は私の仕事に何の影響も及ぼさず、着任から半年が経過しました。
この数ヶ月間、元請けや下請けに宛てて毎日2通くらいのペースで手紙を書いて来ました。元請けのORGに対しては、
「先日依頼された業務は契約書第何条に合致しないので契約額を変更願います。」
そして下請けに対しては、
「御社の請求書の二番目の項目はこれを正当化する事前の合意文書がないので支払えません。」
といった内容が中心。日本で働いていた頃は外部向けの文書を出す場合、決裁書にたくさんのハンコをもらっていました。係長、課長代理、課長、次長、部長、という順に。当時そのことについて特に深く考察したことはなく、それが組織の意思決定というものなのだ、と素直に受け入れていました。
だからこのプロジェクトに参加した当時、マイクのサインさえ貰えば良いと知った際には唖然としました。なんて平たい組織なんだ、これがアメリカの組織の意思決定か!そう無邪気に興奮したのも束の間、2ヶ月もたたないうちに業務量が数倍に膨れ上がり、組織は急拡大。仕事のプロセスも複雑化し、とてもマイク一人の手には負えなくなりました。文書の草案を持って行っても、
「一体全体、何の話をしてるんだ?」
という反応が返ってくるようになりました。そしてある日、
「シンスケ、これからはグレッグにもチェックしてもらってくれ。」
とギブアップ宣言。そこで草案の片隅にサイン欄を設け、当時ナンバー2だったグレッグにイニシャルを書き込んでもらってからマイクに持っていくようになりました。
その後、リンダとフィルが私の仕事を中間管理するようになったため、彼等の名前もサイン欄に加わり、クレイグのトップ就任によってマイクの名前は箱の中へ移動。事案によっては担当者にも確認して貰うようになったため、草案チェックのプロセスが5倍くらいに延び、手紙一通出すのに三日から一週間はかかるようになりました。なんだ、これなら日本でやってきた決裁とちっとも変わらないな、と少しがっかりしていたのですが、皆の反応を見ているうちに、どうもこれはそれほど一般的なやり方じゃないみたいだということに気がつきました。
老フィルは、
「これはとてもいいアイディアだよ。その事案に関与している全ての人のチェックを通ったことがひと目で分かるからね。」
と、さもこれが革新的なシステムであるかのようなことを言うし、リンダは、
「いい習慣ね。どんな通信文書も必ずこのプロセスを通すことを勧めるわ。そして責任者達のイニシャルがついた草案は別フォルダーに綴じてしまっておくの。後で裁判になった場合、それがあなたの身を守ってくれるわ。」
と、あくまでもCYA (Cover Your Ass) の観点からこの決裁システムを賛美しています。彼女の論点はつまり、責任者達のサインやイニシャルがついた草案は組織の正式文書として保管されるわけではなく、あくまでも「何かあった時に自分に責めが及ばないようにする」ための武器だというのです。
そういう視点で決裁というシステムを考えたことは一度もありませんでしたが、言われてみれば、サインを依頼した時の人々の反応に合点が行きます。
「ほんとに俺がサインしなきゃいけないの?」
という渋い表情を浮かべる人は多いし、サインする前には皆しっかり時間をかけて内容を一言一句確認するのです。本来はもちろんそうあるべきなのでしょうが、自分はかつてわりと安易に印鑑を押していたので、いささか新鮮でした。
測量会社からの請求内容と業務の達成状況とを照合するため、実際に個々の測量業務を依頼した担当者の名とその仕事の進捗状況を、表にまとめた時のことでした。当の担当者達に確認してもらおうとサイン用の紙を一枚添付してオフィスを回ったところ、最初に訪ねたデイヴにきっぱりと拒絶されました。
「俺はこんな紙切れなんかにサインしないよ。」
当惑していると、彼が続けました。
「これにサインしてしまえば、一覧表にある全ての業務の責任を取らされかねないからね。俺は自分の担当業務にしか責任は持てないよ。」
そう言ってサイン用の紙をはねのけ、表中の自分の名前の横に小さくイニシャルを書き込みました。
「俺にとって一番大事なのは、プロジェクトの最終日までこのケツが胴体と繋がっていることだ。そう簡単にドジは踏まないよ。」
書類にサインすることの怖さを、自分はデイヴほどは分かっていなかったなあとつくづく思ったのでした。日本で働いていた頃は、「責任を取る」という言葉が今ほどは現実味を帯びていませんでしたから。
さて5月の第一週のこと。ディレクターであるクレイグの辞任が突然発表されました。コロラド州交通局から技術職のトップとして迎えたいというオファーがあり、それを受けることにしたというのです。就任からわずか3ヶ月で転職…。いかにもアメリカらしい話です。総務経理担当のシェインがオフィスの隅にケーキとお茶を用意して、立食式のささやかな送別会が開かれました。
「随分悩んだのですが、娘たちがコロラドに住んでいるということもあり、家族でよく相談して決断しました。かつてこれほど優秀な部下達と働いたことはなく、そんな皆さんとお別れするのは本当に残念なのですが…。」
理由の真偽はどうあれ、トップがたった3ヶ月で辞めてしまうのです。当然、部下達は浮き足立ちます。人だかりの中、ひそひそ話が始まりました。
「本当に個人的な理由なのかな。このプロジェクト、危ないんじゃないの?」
そんな懸念に先回りするかのように、送別会に参加していた本社のお偉方が、
「後任のディレクターは、月末には到着します。彼はきっと腰を落ち着けて活躍してくれるでしょう。既にこのエリアに家を買ったそうですから。」
と補足しました。隣に立っていたミシェルが、
「ちょっと眉つばっぽいわよね。」
と声をひそめていたずらっぽく笑いました。
午後遅く、クレイグのオフィスを訪ねました。夕陽の差し込むがらんとした部屋で、ダンボール箱に荷物を詰めているところでした。
「クレイグ、私としては今回のことを、とても残念に思っています。でも、コロラドでの仕事がうまく行くことを祈ってます。」
「どうも有難う。私もこんなに短期間での転職は予想もしていなかったよ。」
彼は作業の手を休めて立ち上がり、握手を求めて手を差し出しました。
「これからも、今の調子でプロジェクトに貢献してくれ。」
私はふと、前から聞いてみたかった質問を口にしてみました。
「クレイグ、この仕事はペースも速いし、プレッシャーもキツかったと思います。日々、ストレスは溜まりませんでしたか?どうやって毎日冷静に過ごされてたんですか?」
彼は表情を変えずに少し考え、それからこう答えました。
「私だって、何度か夜中にうなされたことはあるんだよ。だがね、大事なことは、チームの皆を信頼することなんだ。信頼していれば、不安に苛まれることはない。」
まるで部外者から「たちの悪い」冗談を聞かされたようで、釈然としないまま自分のキュービクルに戻りました。「信頼していれば、不安に苛まれることはない」だって?彼はここで三ヶ月、一体何をやってたんだ?マイクやリンダが彼をどう思ってたか、気付かなかったとでも言うんだろうか?いや、そんなはずはない。彼はシャープな男だ。当然気付いてたはずだ。しかし気付いていてそういうコメントを思いついたとすれば…。
私はじわじわと腹が立って来ました。自分が「小物扱い」された気がして怒りがこみ上げて来たのです。まるで「こんな下っ端に、誠実に答える価値などない」、という心の声を聞いてしまったみたいで。
ナメてもらっちゃ困る。アメリカでこそまだまだ新参者だが、日本ではそれなりに仕事の実績を積んで来たんだ。くそっ!このままでは終わらないぞ!ひとりメラメラ燃えながら、残業に突入したのでした。
この数ヶ月間、元請けや下請けに宛てて毎日2通くらいのペースで手紙を書いて来ました。元請けのORGに対しては、
「先日依頼された業務は契約書第何条に合致しないので契約額を変更願います。」
そして下請けに対しては、
「御社の請求書の二番目の項目はこれを正当化する事前の合意文書がないので支払えません。」
といった内容が中心。日本で働いていた頃は外部向けの文書を出す場合、決裁書にたくさんのハンコをもらっていました。係長、課長代理、課長、次長、部長、という順に。当時そのことについて特に深く考察したことはなく、それが組織の意思決定というものなのだ、と素直に受け入れていました。
だからこのプロジェクトに参加した当時、マイクのサインさえ貰えば良いと知った際には唖然としました。なんて平たい組織なんだ、これがアメリカの組織の意思決定か!そう無邪気に興奮したのも束の間、2ヶ月もたたないうちに業務量が数倍に膨れ上がり、組織は急拡大。仕事のプロセスも複雑化し、とてもマイク一人の手には負えなくなりました。文書の草案を持って行っても、
「一体全体、何の話をしてるんだ?」
という反応が返ってくるようになりました。そしてある日、
「シンスケ、これからはグレッグにもチェックしてもらってくれ。」
とギブアップ宣言。そこで草案の片隅にサイン欄を設け、当時ナンバー2だったグレッグにイニシャルを書き込んでもらってからマイクに持っていくようになりました。
その後、リンダとフィルが私の仕事を中間管理するようになったため、彼等の名前もサイン欄に加わり、クレイグのトップ就任によってマイクの名前は箱の中へ移動。事案によっては担当者にも確認して貰うようになったため、草案チェックのプロセスが5倍くらいに延び、手紙一通出すのに三日から一週間はかかるようになりました。なんだ、これなら日本でやってきた決裁とちっとも変わらないな、と少しがっかりしていたのですが、皆の反応を見ているうちに、どうもこれはそれほど一般的なやり方じゃないみたいだということに気がつきました。
老フィルは、
「これはとてもいいアイディアだよ。その事案に関与している全ての人のチェックを通ったことがひと目で分かるからね。」
と、さもこれが革新的なシステムであるかのようなことを言うし、リンダは、
「いい習慣ね。どんな通信文書も必ずこのプロセスを通すことを勧めるわ。そして責任者達のイニシャルがついた草案は別フォルダーに綴じてしまっておくの。後で裁判になった場合、それがあなたの身を守ってくれるわ。」
と、あくまでもCYA (Cover Your Ass) の観点からこの決裁システムを賛美しています。彼女の論点はつまり、責任者達のサインやイニシャルがついた草案は組織の正式文書として保管されるわけではなく、あくまでも「何かあった時に自分に責めが及ばないようにする」ための武器だというのです。
そういう視点で決裁というシステムを考えたことは一度もありませんでしたが、言われてみれば、サインを依頼した時の人々の反応に合点が行きます。
「ほんとに俺がサインしなきゃいけないの?」
という渋い表情を浮かべる人は多いし、サインする前には皆しっかり時間をかけて内容を一言一句確認するのです。本来はもちろんそうあるべきなのでしょうが、自分はかつてわりと安易に印鑑を押していたので、いささか新鮮でした。
測量会社からの請求内容と業務の達成状況とを照合するため、実際に個々の測量業務を依頼した担当者の名とその仕事の進捗状況を、表にまとめた時のことでした。当の担当者達に確認してもらおうとサイン用の紙を一枚添付してオフィスを回ったところ、最初に訪ねたデイヴにきっぱりと拒絶されました。
「俺はこんな紙切れなんかにサインしないよ。」
当惑していると、彼が続けました。
「これにサインしてしまえば、一覧表にある全ての業務の責任を取らされかねないからね。俺は自分の担当業務にしか責任は持てないよ。」
そう言ってサイン用の紙をはねのけ、表中の自分の名前の横に小さくイニシャルを書き込みました。
「俺にとって一番大事なのは、プロジェクトの最終日までこのケツが胴体と繋がっていることだ。そう簡単にドジは踏まないよ。」
書類にサインすることの怖さを、自分はデイヴほどは分かっていなかったなあとつくづく思ったのでした。日本で働いていた頃は、「責任を取る」という言葉が今ほどは現実味を帯びていませんでしたから。
さて5月の第一週のこと。ディレクターであるクレイグの辞任が突然発表されました。コロラド州交通局から技術職のトップとして迎えたいというオファーがあり、それを受けることにしたというのです。就任からわずか3ヶ月で転職…。いかにもアメリカらしい話です。総務経理担当のシェインがオフィスの隅にケーキとお茶を用意して、立食式のささやかな送別会が開かれました。
「随分悩んだのですが、娘たちがコロラドに住んでいるということもあり、家族でよく相談して決断しました。かつてこれほど優秀な部下達と働いたことはなく、そんな皆さんとお別れするのは本当に残念なのですが…。」
理由の真偽はどうあれ、トップがたった3ヶ月で辞めてしまうのです。当然、部下達は浮き足立ちます。人だかりの中、ひそひそ話が始まりました。
「本当に個人的な理由なのかな。このプロジェクト、危ないんじゃないの?」
そんな懸念に先回りするかのように、送別会に参加していた本社のお偉方が、
「後任のディレクターは、月末には到着します。彼はきっと腰を落ち着けて活躍してくれるでしょう。既にこのエリアに家を買ったそうですから。」
と補足しました。隣に立っていたミシェルが、
「ちょっと眉つばっぽいわよね。」
と声をひそめていたずらっぽく笑いました。
午後遅く、クレイグのオフィスを訪ねました。夕陽の差し込むがらんとした部屋で、ダンボール箱に荷物を詰めているところでした。
「クレイグ、私としては今回のことを、とても残念に思っています。でも、コロラドでの仕事がうまく行くことを祈ってます。」
「どうも有難う。私もこんなに短期間での転職は予想もしていなかったよ。」
彼は作業の手を休めて立ち上がり、握手を求めて手を差し出しました。
「これからも、今の調子でプロジェクトに貢献してくれ。」
私はふと、前から聞いてみたかった質問を口にしてみました。
「クレイグ、この仕事はペースも速いし、プレッシャーもキツかったと思います。日々、ストレスは溜まりませんでしたか?どうやって毎日冷静に過ごされてたんですか?」
彼は表情を変えずに少し考え、それからこう答えました。
「私だって、何度か夜中にうなされたことはあるんだよ。だがね、大事なことは、チームの皆を信頼することなんだ。信頼していれば、不安に苛まれることはない。」
まるで部外者から「たちの悪い」冗談を聞かされたようで、釈然としないまま自分のキュービクルに戻りました。「信頼していれば、不安に苛まれることはない」だって?彼はここで三ヶ月、一体何をやってたんだ?マイクやリンダが彼をどう思ってたか、気付かなかったとでも言うんだろうか?いや、そんなはずはない。彼はシャープな男だ。当然気付いてたはずだ。しかし気付いていてそういうコメントを思いついたとすれば…。
私はじわじわと腹が立って来ました。自分が「小物扱い」された気がして怒りがこみ上げて来たのです。まるで「こんな下っ端に、誠実に答える価値などない」、という心の声を聞いてしまったみたいで。
ナメてもらっちゃ困る。アメリカでこそまだまだ新参者だが、日本ではそれなりに仕事の実績を積んで来たんだ。くそっ!このままでは終わらないぞ!ひとりメラメラ燃えながら、残業に突入したのでした。
2010年8月15日日曜日
Jackpot! 大当たり!
いよいよ今月末、同僚エリカがラスベガスへ引越すことになりました。彼女はオフィス内を回って荷造り用のダンボール箱を探していたのですが、初めて話しかけたエンジニアの社員が、ちょうど大きな荷物の移動を終えたところだと、大量の箱を提供してくれたそうです。
I hit the jackpot!
と嬉しそうに笑う彼女。このJackpot というのはもともとポーカー用語だったらしいのですが、今ではスロットマシーンの大当たりを指すようです。日常会話で用いられる時は、「思いがけない大当たり」となります。
こういう表現を学ぶたびにいつも思うんだけど、どうしてここで定冠詞を使うんだろう?
I hit a jackpot!
じゃいけないの?と。
今のところ私の解釈は、スロットマシーンが出す中で最高の、ひとつしかない賞を指すからThe なのだ、ということ。どうでしょう?
I hit the jackpot!
と嬉しそうに笑う彼女。このJackpot というのはもともとポーカー用語だったらしいのですが、今ではスロットマシーンの大当たりを指すようです。日常会話で用いられる時は、「思いがけない大当たり」となります。
こういう表現を学ぶたびにいつも思うんだけど、どうしてここで定冠詞を使うんだろう?
I hit a jackpot!
じゃいけないの?と。
今のところ私の解釈は、スロットマシーンが出す中で最高の、ひとつしかない賞を指すからThe なのだ、ということ。どうでしょう?
2010年8月14日土曜日
Weigh In 論戦に参加する
切れ者PMのキャスリンが、オンラインの月次レポートを仕上げにかかっていてたのですが、昨日のメールでこんなことを書いて来ました。
I did my part, but can you weigh in on the 2 financial questions?
私の担当部分は終わったんだけど、財務関連の質問二つに答えるの、手伝ってくれない?
このWeigh In というのは目新しい表現。さっそく調べたところ、スポーツ選手が「計量する」という訳が最初に出てきました。そして二番目が、「介入する」とか「助けに入る」。「出場を懸けて体重計に乗っかる」動作を思い浮かべると、「ややこしいことに足を踏み入れる」という意味が派生したのは頷けます。前置詞 on を伴うと「論争に参加する」というニュアンスになり、キャスリンは私に「質問に答えてひとつ論じて欲しい」と要請していたのですね。
ビミョーな表現、気に入りました。使う機会を探します。
I did my part, but can you weigh in on the 2 financial questions?
私の担当部分は終わったんだけど、財務関連の質問二つに答えるの、手伝ってくれない?
このWeigh In というのは目新しい表現。さっそく調べたところ、スポーツ選手が「計量する」という訳が最初に出てきました。そして二番目が、「介入する」とか「助けに入る」。「出場を懸けて体重計に乗っかる」動作を思い浮かべると、「ややこしいことに足を踏み入れる」という意味が派生したのは頷けます。前置詞 on を伴うと「論争に参加する」というニュアンスになり、キャスリンは私に「質問に答えてひとつ論じて欲しい」と要請していたのですね。
ビミョーな表現、気に入りました。使う機会を探します。
2010年8月13日金曜日
Blurb 自賛広告
同僚エリカの旦那マークが遂に、ラスベガスでの観光ヘリの仕事を開始したそうです。初日はグランドキャニオン周遊ルートを3回飛んだとか。エリカが電話で、
「チップは全部でいくらもらったの?」
と尋ねたところ、たったの5ドルだったそうです。ベテランになるとチップだけで週に500ドル稼ぐそうなので、そのあまりの少なさに思わず笑ってしまったと彼女が言いました。いつも軽いノリのマークでも、さすがに緊張して口数が減ったらしいのです。
彼が飛行士仲間にチップの額を話したところ、こんな風に言われたそうです。
“You have to come up with some blurbs to get tips.”
「何か売り口上を考えないと、チップはもらえないぞ。」
Blurb というのは、本の背などに載せる自賛広告のこと。中身の抄訳とか著者紹介とかを織り交ぜた、短い宣伝文句ですね。ブラーブとブルーブの中間くらいの発音。ラスベガスから観光飛行しようって客は、チップの習慣がない国から来ている旅行者が大半。だから、自分達はチップをあてにしているのだということをきちんと伝える必要があるのです。Blurb の「自分で書く」広告というニュアンスが、この文脈に合っているのですね。
ところで初飛行に際しては、会社の人からこう釘を刺されたそうです。
「くれぐれも、これまで何回飛んでるんですか、というお客さんの質問に、初めてですとは答えないように。」
そりゃそうだ!
「チップは全部でいくらもらったの?」
と尋ねたところ、たったの5ドルだったそうです。ベテランになるとチップだけで週に500ドル稼ぐそうなので、そのあまりの少なさに思わず笑ってしまったと彼女が言いました。いつも軽いノリのマークでも、さすがに緊張して口数が減ったらしいのです。
彼が飛行士仲間にチップの額を話したところ、こんな風に言われたそうです。
“You have to come up with some blurbs to get tips.”
「何か売り口上を考えないと、チップはもらえないぞ。」
Blurb というのは、本の背などに載せる自賛広告のこと。中身の抄訳とか著者紹介とかを織り交ぜた、短い宣伝文句ですね。ブラーブとブルーブの中間くらいの発音。ラスベガスから観光飛行しようって客は、チップの習慣がない国から来ている旅行者が大半。だから、自分達はチップをあてにしているのだということをきちんと伝える必要があるのです。Blurb の「自分で書く」広告というニュアンスが、この文脈に合っているのですね。
ところで初飛行に際しては、会社の人からこう釘を刺されたそうです。
「くれぐれも、これまで何回飛んでるんですか、というお客さんの質問に、初めてですとは答えないように。」
そりゃそうだ!
2010年8月11日水曜日
Coined Terms 造語
語彙の豊富さでは他の追随を許さない、コンストラクション・マネジャーのトム。彼が話し始めると、その優美な語り口についつい耳をそばだててしまいます。昨日も契約担当のリエンと立ち話しているのを仕事しながら聞いていたのですが、彼が突然耳慣れない単語を使ったので、思わず振り返ってしまいました。彼の方も私が聞き逃さないことを予期していたようで、リエンに
「ほら、シンスケが食いついたぞ!」
と嬉しそうに笑っています。メモ用紙を渡してその単語を書いてもらったのですが、これがどういう意味なのか、皆目見当がつきません。
Shankapotomus
「シャンカパトマス??何これ?初耳だけど。」
トムは心得顔で、
「そりゃそうだ。辞書には載ってないぞ。」
とニヤつき、もったいぶっています。
「ちゃんと教えてよ。何なの?この言葉。」
彼の説明によれば、これはテレビコマーシャルから飛び出した新語であり、アメリカ人ならニヤッと笑えるニュアンスがあるのだそうです。
Shank (シャンク)とは、ゴルファーが大失敗した時に放つ、とんでもないファールボール。Potomus はHippopotamus (カバ)の後半部分で、動きの緩慢な男性を指すようです。Shankapotomusは、これを合成した造語。「ドジでぶざまなおっさん」てな感じでしょうか。ネットを調べたところ、Etradeという会社のテレビコマーシャルで、赤ちゃんが口をパクパクさせているところに大人の男性がセリフを合わせて小憎らしいことを言わせる映像が出てきました。
アメリカ人数人に尋ねたところ、全員この単語を知ってました。「ちゃんとした言葉じゃないよ。おふざけの造語だよ。」との但し書き付きですが。
ところでこの「造語」ですが、英語では
Coined Terms
と呼びます。コイン(貨幣)が動詞になると「鋳造する」ですが、それを言葉にも使うところが英語らしいなあと思います。Coined Phrase とかCoined Name なども、良く見る例です。
Who coined the term Shankapotomus?
シャンカパトマスって誰の造語?
てな感じで使われます。トムが最後に真面目くさった顔で、
「くれぐれも、ビジネス・ミーティングでは使わないように。」
そしていたずらっぽい笑顔になって、こう付け加えました。
「俺には使っても全然構わないよ。It’s totally cool to me!」
「ほら、シンスケが食いついたぞ!」
と嬉しそうに笑っています。メモ用紙を渡してその単語を書いてもらったのですが、これがどういう意味なのか、皆目見当がつきません。
Shankapotomus
「シャンカパトマス??何これ?初耳だけど。」
トムは心得顔で、
「そりゃそうだ。辞書には載ってないぞ。」
とニヤつき、もったいぶっています。
「ちゃんと教えてよ。何なの?この言葉。」
彼の説明によれば、これはテレビコマーシャルから飛び出した新語であり、アメリカ人ならニヤッと笑えるニュアンスがあるのだそうです。
Shank (シャンク)とは、ゴルファーが大失敗した時に放つ、とんでもないファールボール。Potomus はHippopotamus (カバ)の後半部分で、動きの緩慢な男性を指すようです。Shankapotomusは、これを合成した造語。「ドジでぶざまなおっさん」てな感じでしょうか。ネットを調べたところ、Etradeという会社のテレビコマーシャルで、赤ちゃんが口をパクパクさせているところに大人の男性がセリフを合わせて小憎らしいことを言わせる映像が出てきました。
アメリカ人数人に尋ねたところ、全員この単語を知ってました。「ちゃんとした言葉じゃないよ。おふざけの造語だよ。」との但し書き付きですが。
ところでこの「造語」ですが、英語では
Coined Terms
と呼びます。コイン(貨幣)が動詞になると「鋳造する」ですが、それを言葉にも使うところが英語らしいなあと思います。Coined Phrase とかCoined Name なども、良く見る例です。
Who coined the term Shankapotomus?
シャンカパトマスって誰の造語?
てな感じで使われます。トムが最後に真面目くさった顔で、
「くれぐれも、ビジネス・ミーティングでは使わないように。」
そしていたずらっぽい笑顔になって、こう付け加えました。
「俺には使っても全然構わないよ。It’s totally cool to me!」
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