「ジョン・ボビって知ってる?」
先週月曜、友人K子さんと夕飯を食べた時の発言。夏休み、香川の実家に一時帰国した時、親戚の若者たちからアメリカのミュージック・シーンについて質問攻めにあったそうなのです。四半世紀もアメリカに住んでいる彼女ですが、テレビは「テレビジャパン」ばっかり(半沢直樹とか)だし、ラジオは公共放送のみなので、有益な情報を全く提供出来なかったのだと。
「それ、ボン・ジョビのことじゃないですか?」
「あ、それそれ!うちの親戚の子達が、大ファンだって言うのよ。私、音楽聴かないから全然分からなくって。」
浮世離れしたK子さんならではのボケだな、とウケてたら、
「それがこないだの週末、クラスメートと喋ってたらね、」
現在彼女は週末だけ大学院(社会人対象)に通っていて、三つ目のマスター(修士号)を取得中なのです。
「その人が偶然にも、ボン・ジョビのコンサートツアーの裏方やってるって言うの。で、親戚の子たちの話を出したら、丁度日本でのコンサートがあるからって、チケット二枚送ってくれたのよ!」
おおっ!とのけぞる私。思い切り意表をつく展開じゃないか…。
さて金曜日の夕方は、息子をフルートの個人レッスンに連れて行きました。かれこれ2年ほど習っている教師のヴィヴィアンは、若い頃ロシアやウィーンのオーケストラで活躍していた東欧人。30分のトレーニングが終わって帰り際、私がふとこんな話を持ち出しました。
中学一年の頃、早朝にバロック音楽を流す日本のラジオ局がありました。ある朝流れて来た曲があんまり綺麗だったんで、急いでテープに録音したんです。この世の物とは思えない美しさで、それから30年以上も音源を捜し続けました。そして数年前、ここアメリカで遂にCDを入手。
曲名は「フルートとチェンバロのためのソナタ 変ホ長調」。フルートはジャン・ピエール・ランパル。色んな人の演奏を聴き較べてみたけど、この人のフルートは別格。この楽器について何の知識も持たない私ですが、聴くたびに「これは人間業じゃないだろ~」と圧倒的感動に浸ります。調べたところ、「20世紀でもっとも偉大なフルート奏者」と呼ばれるほどの実力者で、2000年に心臓発作で亡くなったとのこと。
「ジャン・ピエールは私の先生なのよ!」
突然ヴィヴィアンが、いかにも興奮を抑えきれないといった様子で立ち上がります。
「ええ?嘘でしょ?」
「ほんとよ。ロシアにいた時、彼が先生だったの。それからずっと親しくしてくれて、サンディエゴに来て我が家に泊まったこともあるのよ。」
おお~!もし彼が生きてたら会えたかもしれなかったのか!すんげ~!
さっそく帰宅してこの話を妻にしたところ、うちの子の友達のお母さんの知り合いのアメリカ人が、黒船来航で御馴染みのペリーの子孫で、日米友好イベントの際には皇居に招待されたというエピソードが飛び出しました。ひえ~。それもすごいな~。
「こういうの何て言うんだっけ?法則みたいのあったよね?」
と妻。そう、これは「ケヴィン・ベーコンの法則」とか「ケヴィン・ベーコン指数」と呼ばれるもので、英語ではSix Degrees of Separation とかSix Degrees of Kevin Bacon。全ての人類は繋がっていて、知り合いを6人介すると世界の誰とでも知り合いになる、という説。
ウィキペディアによると、
「1994年のはじめ、映画雑誌『プレミア(英語版)』のインタビューに対してベーコンが「ハリウッドの全員が自分の共演者か、共演者の共演者だ」という趣旨の発言をしており、インターネット上などでは「ケヴィン・ベーコンはハリウッドの中心(あるいは「世界の中心」)」と言われるなど話題になった。実際、ハリウッドに限らず古今東西のほとんどの俳優は「ベーコン指数」3次以内に収まってしまう。」
私からジャン・ピエール・ランパルまではわずか2つ。ランパルの死を悼んだという元フランス大統領のジャック・シラクまで3つ。おお~!
でも、だから何?って聞かれると困るんだけど…。
昨日の朝、会社のみんなとひとしきりこの話題で盛り上がりました。同僚リチャードの知り合いにはハンバーガー・チェーンで有名なカールス・ジュニアの創始者の息子がいる(ほんとのジュニア)、とのこと。同僚マリアの元ルームメイトの男性は現在俳優で、レイディ・ガガと大の仲良しなのだと言います。
マリア。マリアの元ルームメイト。そしてレイディ・ガガ。
おお!レイディ・ガガまでわずか3ステップ!
う~ん、でもやっぱり、だから何?って話ですね。