2016年9月4日日曜日

Please me プリーズ・ミー

先日の朝、総務のヘザーから一斉メールが届きました。内容は、「LGBT ミーティング」。LGBTというのは、「レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー」の略です。うちのオフィスには同性愛や両性愛といった性的指向をはっきり表明している社員が何名もいるのですが、今度その集会が開かれますよ、というお知らせ。発信人のダグラスからの元メールが底の方に表示されていたのですが、中身を注意深く読まずに閉じていました。

ダグラスは、大胸筋の著しく発達した逞しい白人男性ですが、会社のパーティーにも「ハズバンド」同伴で現れるほどの大っぴらなゲイです。どうやら彼が発起人となって、グループ集会を企画した様子。彼とは日頃から大変仲良くしているのですが、その性的指向に関しては何のコメントも加えたことがありませんでした。

午後になって、向かいの席からシャノンがさも可笑しそうに、「ヘザーのメール見た?」と尋ねて来たので、まさかその手の連絡を会社メールで転送したことを取り上げて面白がってるのかな?と疑ったのですが、

「ダグラスのメールが付いてたでしょ。あれ読んだ?」

と笑うのです。あらためて彼のメール部分を読み返してみたところ、こう結んでありました。

“If you have any questions, directly please me.”
「もしも何か質問があれば、僕をダイレクトに喜ばせてくれ。」

はぁ?なんだこれ?

Pleaseは「どうぞ、どうか」という意味の間投詞として使われるのが通常です。今回のように動詞として用いられると、「喜ばせる、楽しませる」という意味になるのですが、実際には「プリーズ・ミー」などという英語表現、聞いたことがありません。これは明らかにミスでしょう。

この後、たまたまダグラスとのミーティングがありました。会社のPMツールへのデータ打ち込み方法が良く分からないというので、ヘルプに行ったのです。打合せ冒頭、ヘザーのメールについて尋ねてみると、

「ああ、あれ?もういやんなっちゃうよ。僕のメールをヘザーがコピペした時に、へんてこな文章になっちゃったみたいなんだ。」

と顔を赤らめます。元の文章はこうだったのだそうです。

“If you have any questions, please directly contact me.”
「もしも何か質問があれば、直接僕にコンタクトして下さい。」

「そうだろうとは思ったよ。でも、テーマがテーマだけに笑えるミスだよね。」

とからかう私に、さらに顔を紅潮させるダグラス。自分の性的指向に関しては常に堂々と振る舞っている彼のこの恥じ入りようが意外で面白かったので、ミーティング終了後、さらに追い討ちをかける私。

「何か他に質問ある?あれば、ダイレクトに僕を喜ばせてね(directly please me)。」

悪い癖が出ました。


2 件のコメント:

  1. リチャードO久保がそんなこと言いそうだね。

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  2. たちの悪い冗談の名手だからね。

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