YouTubeの映像を気の向くままに鑑賞していたら、こんなタイトルの番組にたどり着きました。
“Unintended Consequences”
直訳すれば、「意図していなかった結果(影響)」ですね。私の訳は、「予期せぬ展開」。
自転車に乗る際はヘルメットを被ることを義務付ける公共団体が増えている中、意外な調査結果が発表された、という話。ヘルメットを着用して自転車に乗る人は、非着用者よりも走行車の接近を許す傾向にある、というのです。つまり事故に遭う確率が高い、と。
身を護るためにヘルメットを被っている人からすれば、納得のいかない話です。だったらノーヘルの方がましじゃないか、と。なんでも自動車のドライバーの目にはヘルメット着用者の方が運転技術が高いように映り、気が緩んでしまう傾向があるのだと。おばちゃんがノーヘルでふらふらママチャリを漕いでる道の方が、運転手の気が引き締まる。言われてみれば頷ける結論です。
プロジェクトマネジメントの世界でもこんな現象は山ほどあって、良かれと思ってしたことが思わぬ結果を招いてしまうケースは日常茶飯事。例えば生物環境部門のスコットから聞いた話では、保護対象種のBurrowing Owl(アナホリフクロウ)のために住処を作ってやろうと砂漠にコルゲートパイプを埋め込んでおいたら、代わりに野ネズミが住み着いちゃったのだと。慌てて追い出して、今度はコルゲートパイプの開口部を地面から30センチほど高い場所に持ち上げておいたのですが、野ネズミたちは落ちていた木の枝で器用に梯子を組み立て、易々とよじ登って見事に住居を奪回。自然が相手では、人間様の予期しない展開がいくらでもあるのですね。
さて、私の新居の庭はGopher(ホリネズミ)が縦横にトンネルを張り巡らし、一面芝生だったエリアの地下空間はほぼ占拠されてしまった格好。生物学チームのエリックに撃退法を尋ねたところ、コヨーテの尿をトンネルの入り口に注いでおくといいかも、と教示されました。コヨーテはゴーファーの天敵らしく、その臭いで逃げ出すらしい。ネットで調査したところ、瓶入りの尿が普通に販売されています。しかし購入一歩手前で別の人から、こんな忠告を頂きました。
「そりゃやめといた方がいいぞ。コヨーテの存在を示せば、ここに獲物がいるぞというサインになって、別の肉食動物を惹きつけちゃうかもしれないから。」
自宅の庭で動物たちの大捕り物が演じられるのも嫌なので、とりあえずコヨーテの尿は購入を控えました。かくなる上は、金属製のワナで仕留めるしかない…。
他にも、花壇に植えたキュウリやナスの葉っぱが、夜のうちに何者かに食われまくって穴だらけになっているという問題があります。調査の結果、容疑者に浮かび上がって来たのがハサミムシ。夜になると土中から姿を現し、濡れた葉っぱを食う、と書かれている記事を発見したのです。撃退法をネットで調べ、さっそくひとつ試してみました。
翌日のランチタイム、サンディエゴ支社の環境部門を束ねるテリーに会ったので、この試みについて話し始めたところ、
「ビールでしょ!」
と早押しクイズの回答者みたいに小さく叫びました。
そう、空き缶にビールを注いで夜のうちに花壇の隅に置いておくと、酵母菌の匂いに引き寄せられたハサミムシたちが次々に入水し、溺れ死んでしまうのです。翌朝起き抜けにチェックしてみて、思わずおお~っと声を上げてしまいました。本当に十数匹のハサミムシたちが、ビールで満たされたプールの底で、折り重なるようにして息絶えているのです。これでうちの野菜たちが護られるぞ、とひと安心する一方、何だか気の毒にもなりました。これを聞いていたテリーが、
「うちでも試してみたんだけど、夜中に野ネズミたちが大集合してパーティしたみたいで、朝起きたら庭の植木鉢やら植物やらが倒されて滅茶苦茶になってたわ。明らかに、彼等もビール好きなのね。」
う~む、これまた予期せぬ展開。
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