2014年6月24日火曜日

Rub it in 不愉快な話を繰り返す

今日の午後、同僚マリアが私のオフィスに顔をひょいっと出し、息を弾ませてこう言いました。

“Three to one!”

一瞬何のことか呑み込めずに面喰っていたのですが、数秒考えてようやく分かりました。

「あ、コロンビア対日本?」

そう、サッカー・ワールドカップ決勝リーグ進出のかかった大事な試合が、今日の午後1時キックオフだったんだ!私としたことが、すっかり失念して仕事に没頭してました。急いでESPNのサイトに行ってみると、コロンビアが3対1とリードのまま、残り時間わずか。ええっ?そこまでこてんぱんにやられてたの?

「シンスケはやっぱり日本応援してるのよね。」

「そりゃそうでしょ!」

マリアはコロンビア生まれのアメリカ人(バリバリ白人ですが)。シカゴに住むお母さんは、お友達とスポーツバーで観戦しているそうです。

「私は当然コロンビアだけど、どっちかって言うとアメリカを応援してるのよね。」

「僕は断然日本だね。」

ここでネット画面のスコアが、1-4と変わります。え~っ!と頭を抱える私に、

「でも、日本も決勝には行くんでしょ?」

と呑気に尋ねるマリア。

「行けないよ。」

「え?そうだっけ?一試合勝たなかった?」

「一勝もしてないんだよ。断トツでグループ最下位だよ。」

私の意気消沈ぶりにようやく気づいたマリアが、こう言いました。

“I’m sorry. I didn’t mean to rub it in.”
「ごめんなさいね。こすりつける (rub in) するつもりは無かったのよ。」

ん?こすりつける?何のことだ?

マリアが去ってからオンライン辞典で調べてみたところ、「何かを相手の顔にこすり付ける」、それが転じて「人の欠点や失敗など、不愉快なことを繰り返し言う」という意味だと分かりました。要するに、「傷口に塩を塗る」ですね。

その後キッチンに行って水を飲んでいたら、同僚サラが現れました。

「今日、新しい表現を覚えたよ。Rub it inってやつ。」

そう私が言うと、彼女がニヤリと笑いました。

「サッカーでしょ。」

「え?何で分かったの?」

「大体想像つくわよ。」

「でもさあ、顔に何かこすり付けるって言ってもさ、イメージ湧かないんだよね。具体的にはどうやってこすり付けるのかなあ。」

と首を傾げる私の前で、サラは右足をすっと上げ、土下座状態の相手の頭を踏みつけて地面にグリグリとこすり付ける芝居を演じて見せました。ええ~?そういう過激なやつ?「傷口に塩」、なんてレベルの話じゃありませんね。

実際、かなり凹みました。このダメージは暫く尾を引きそうだ。

2014年6月17日火曜日

「泥縄」って英語で何?

12歳の息子が通う日本語補習校の運動会にスケジュールを合わせ、ミシガンから義理の両親が飛んできて我が家に暫く滞在することになりました。そんな折、義父の遠い親戚であるR社のM社長が、仕事のパートナーで我々夫婦の友人でもあるAさんと一緒にサンディエゴを訪問することになり、皆で会食する運びに。M社長は、日本を代表するビジネスマン。総理大臣や世界のトップエグゼクティブとお友達なので、我が家の知り合いの中でも断トツの成功者です。

秘書から事前に連絡が入り、社長とAさんはこの機会を利用してゴルフを楽しむ予定なので、私と義父に「ご一緒にいかがですか?」とのこと。場所は、USオープンの舞台としても使われる名門コース、Torrey Pines(トーリーパインズ)。ところどころ起伏が激しく、海風も強いため、難度の高いゴルフ場として有名です。

「二人とも永らくクラブを握っていないので、遠慮します。」

と二つ返事で(?)お断りを入れる義父。膝と手首の調子を崩している義父は、かつて毎週のようにコースを回っていたアマチュア・ゴルファー。さぞかし残念だったことでしょう。彼のそれに比べ、私のゴルフ歴はお粗末なもの。17年前に新婚旅行でミシガンを訪れた際に義父からお祝いとして買ってもらったクラブのセットは、押入れで埃を被ったまま。18ホール回ったのは、この17年間で5回ほど。スコアだって、一度も70切ったことが無い(ハーフで)。妻に誘われてレッスンを受けたことはあるけど、それも2年か3年前の話。この状況で、「石川遼と回ったこともある」M社長と、しかも超一流コースで同伴出来るわけがない。

翌朝、同僚リチャードに笑いながらこの話をしたところ、「あんた正気か?」という勢いで食ってかかられました。

「それほどの機会をみすみす逃すなんてどういうつもりだよ?僕だったら何が何でも参加するね。」

「だって知っての通り、ゴルフに関しちゃほぼド素人なんだよ。いくらなんでも相手に迷惑でしょ。」

「そんなの関係ないよ。たかがスポーツだよ。上手かろうが下手だろうが、楽しめばいいんだよ。そういう人物と5時間も一緒に遊べるんだよ。またとない機会でしょ!」

そう言われてみれば、確かにそうだよなあ。段々と勿体なく感じて来て、義父を通して「やっぱり参加させて頂くわけにはいきませんか?」と前言撤回を申し出たところ、すんなり通りました。これで、当日までのわずか10日間で「同伴者に迷惑をかけない程度まで」ゴルフの腕を仕上げなければならなくなりました。

数年前に指導をお願いした日本人インストラクターのS先生に急遽連絡し、事情を話したところ、「そういうことなら全力でサポートします」との有り難いお言葉。ほぼ一日おきに、アフターファイブのレッスン予約を入れました。彼の戦略は次の通り。

「長いクラブの練習は間に合わないでしょう。きっぱり諦め、大怪我しない方法でいきましょう。4番のユーティリティーを買って来て下さい。」

「まずはフォームとグリップを仕上げるため、8番アイアンの練習をしましょう。」

さらにパターと寄せを習い、最後にバンカーショットでまとめます。

「いよいよ明日ですね。短期間でしたが、やれることは全てやりました。あまり考え過ぎず、とにかく楽しんで来て下さい。」

と、にっこり笑うS先生。

そして昨日の午前中、M社長とAさんと三人で18ホールを回りました。青い空に青い海、涼しい微風、最高のコンディション。終わってみれば、彼らより40打ほど多く叩いていましたが、それでも生涯ベストスコアでした。二人はとっても優しく、カートの運転もスコアの記録も全てやってくれました。クラブを持って走り回るのに忙しい私に、一度などはM社長が私のバッグからパターを抜き取って、「これ、必要じゃないですか?」と持って来てくれました。「迷惑をかけない」という当初の目標を達成出来たとはとても思えないけど、「ゴルフを楽しむ」ことは出来ました。

さて、本番当日に至るまでの私の慌てぶりは、客観的にみれば非常に滑稽でした。どこからどう見ても、「泥棒を見て縄をなう」、つまり「泥縄」の10日間。これ、英語だと何と言うのかなあ、と色々同僚に聞いて回ったのですが、誰もぴったりした訳案をくれません。ネットで調べたところ、

“Close the barn door after the horse has escaped”
「馬が逃げてからbarn(納屋)の戸を閉める」

という訳が多く紹介されています。う~ん、近いような気もするけど、馬が逃げちゃってるってことは、もう間に合ってないんだよなあ。これだと根本的に意味が違うぞ。泥縄にはまだ挽回のチャンスが僅かばかり残っているんだから。もっとぴったりした訳はないものか、と思案しつつ、同僚サラを訪ねました。

Close the barn door っていうイディオム、知ってる?」

私の質問に、え?と動揺するサラ。「何てこと聞くのよこの人は?」という、意外なほど不審な表情。私が置かれていた状況を軽く説明し、「泥縄」に当たる英語表現を探してるんだよ、と付け足します。

「オンライン辞書に載っていたのはこの “Barn Door” イディオムなんだけど、日本語のドロナワとは違う気がするんだよね。」

と私が言うと、

「聞いたことはある表現だけど、私は使わないわね。」

暫く議論した結果、全く同じ意味のイディオムは英語に存在しないのではないか、という結論に達しました。

「最初は、Your barn door is open (納屋の戸が開いているよ)って表現について聞かれてるんだと思ったわ。このイディオム、知ってる?」

とサラ。

「いや、知らないな。どういう意味?」

「ズボンのチャックが開いてるよ、って意味!」

「え?それは知らなかった!」

サラと一緒にひとしきり笑ってから、自分のオフィスに戻りました。部屋に入る直前に思わず立ち止り、ズボンの前を確認しました。


2014年6月13日金曜日

Run it up the flagpole 事案を上層部に上げる

先日ロングビーチ支社に出向いた際、中堅PMのアリーシャと久しぶりに言葉を交わしました。彼女はイディオムを多用するタイプなので毎回会話を楽しみにしているのですが、今回もこんなフレーズが飛び出しました。

“So I ran it up the flagpole.”

直訳すれば、何かを「旗竿の上へ高く掲げた」ということですね。これ、以前にも何度か聞いている言い回しなのですが、意味をつかめずにいました。

「今のどういう意味?なんでフラッグポールが出て来るの?」

「あ、またイディオム使っちゃったわね。ごめんなさい。要するに、上層部に話を上げた(Escalated)ってことよ。」

「え?そうなの?前にネット辞書で調べた時には、違う意味が載ってたんだけど。」

そうなんです。このイディオム、どこで調べても、

To propose an idea or make a suggestion in order to learn the reaction of others to it.
提案して皆の反応をうかがう

といった訳しか出ていないんです。つまり、何かを旗竿のてっぺんにするするっと上げて、皆がどう出るかを見る。これならビジュアル・イメージに沿ってるし、納得です。でも、アリーシャの説明は微妙に違う。いや、微妙どころじゃないな。旗竿を組織の階層に見立てているわけだから、完全に別モノだ。

そんなわけで、職場の同僚たちにセカンドオピニオンを聞いて回りました。アルフレッド、スー、サラ、レベッカ、そしてジェイソンと5人にヒアリングをかけた結果、全員がアリーシャの解釈に同意していることが分かりました。リスクマネジャーのスーには辞書サイトのリンクまで送って違いを指摘したのに、

“Interesting….”

と、そっけない反応。う~む。ネットに出てる情報が全て正しいとは限らないなんてことは百も承知だけど、ここまではっきり違うとはなあ。

ダウンタウンのオフィスで同僚ステヴと話したところ、

「うん、それはネットが間違ってるね。」

とキッパリ。

「でも偶然だなあ。ちょうど昨日、そういう発言が会議で飛び出したんだ。」

彼の出席した会議中、クライアントに提出するレポートのある一章を、まるまる削除すべきかどうかの議論になったそうです。これは難しい判断で、プロジェクトチームの面々が皆で数分間唸ります。ここで誰かが、

“Why don’t we run it up the flagpole?”
「旗竿のてっぺんに上げたらどうかな。」

と提案したところ、最ベテランの出席者が、

“We ARE the flagpole. There’s nobody else. Let’s cut the chapter.”
「俺たちが旗竿なんだよ。他に誰もいやしない。この章、削除しようじゃないか。」

と答えて、皆が笑ったのだと。

う~ん、そうなのか。でもやっぱり、なんかすっきりしない。


この話、このブログに上げて、読者の皆さんの反応をうかがうことにします。

2014年6月8日日曜日

Run the gauntlet 袋叩きに合う

先日、12歳の息子が珍しくクラスメートの悪口を言い始めました。段々興奮が募って来たようで、しまいにはヤクザみたいな口調になって来ました(とてもここでは書けませんが)。これはまずいと思い、言霊思想まで持ち出して戒める私。悪口を言う時って、つい調子に乗って大袈裟になりがちです。冷静に考えればひとつの個性に過ぎない要素ですら、悪意のメガネを通して拡大してしまう。息子に諭しつつも、大人だってよくやっちゃうんだけどね、と苦笑い。

さてここ数週間、オンラインPMツールの使い方をプロジェクトマネジャー達に教えて回っています。トレーニング講師の仕事を大好物とする私にとって、実に楽しい時間です。問題があるとすれば、トレーニングを受ける側からの反発。ここ数年レイオフの嵐が吹き荒れ、PM一人当たりの仕事量が激増しているにもかかわらず、マネジメントツールが続々と追加されている。「またかよ、もう勘弁してくれよ。」と誰もが辟易しているのですね。

かつてはのびのびと仕事していたPM達も、上層部が押し付けて来る非現実的な経営目標に何とか応えようと、青息吐息。技術屋の真骨頂を発揮するより、「一日でも早く代金を支払ってもらえるようクライアントと掛け合う」ことの方が優先されるような社風に変わってしまった結果、経営ツールの追加は更なる締め付けの強化とみなすPMがほとんどなのです。そんなわけで、新しいツールの使用法を教える時は極めて明解に、「これであなたの仕事が楽になりますよ」というメッセージを強調するよう努めています。

先日のロングビーチ支社でのトレーニング中も、この支社で働く技術屋のマークがちょくちょく茶々を入れて来ました。彼は、日頃から会社の提供するマネジメント・ツールの撤廃を声高に叫んでいる不満分子。少しでも込み入った使い方を紹介すると、「こんな役立たずのシステムはゴミ箱に捨てるべきなんだよ!」と鬼の首を獲ったように抗議するマーク。

その日の朝、彼の仕事を少し手伝いました。前の週にクライアントから承認された追加予算をオンラインシステムに足しこもうとしていたのですが、タスクへの振り分けが複雑で、頭がこんがらがってしまったのだそうです。彼のプロジェクトはただでさえ利益率が低く、財務部門からの厳しい質問が集中しがち。ちょっとでも数字を間違えようものなら、即座に文句が飛んで来るのだと言います。そうかなあ。被害妄想が過ぎるような気がするんだけど…。

仕上げた予算表の数字を、私が代わって打ち込みます。システムの複雑さを罵りつつ、マークがSubmit (提出)ボタンを押す。ここからオンライン決裁がスタートします。経理や財務の担当者が、順々に承認・不承認を決めていくのです。

やれやれ、やっと終わったという表情のマーク。その時、こんなセリフが彼の口から飛び出しました。

“Now I’m running the gauntlet.”

直訳すれば「さあ、ガントレットを走るか。」ですが、さっぱり意味が分からない。

「ちょっとマーク、ガントレット(ゴーントレッと聞こえます)って何のこと?」

彼の解説によると、二列に並んで向き合った大勢の兵士たちが棍棒や鞭を持ち、間を走り抜ける人をぶん殴る刑罰がかつてあったそうで、この二列の陣形をGauntlet と呼ぶのだそうです。大抵の場合、受刑者は出口まで辿り着けずに絶命するのだと。

私の訳はこれ。

“Now I’m running the gauntlet.”
「さあ、袋叩きに合うとするか。」


針小棒大にも程があるぞ、マーク。

2014年6月5日木曜日

Have a cow COWを飼う?

月曜日はロングビーチ支社へ出張したので、シールビーチに住む元同僚のリサを晩飯に呼び出しました。夕方6時、カリフォルニア・ピザ・キッチンに現れた彼女と、強めのハグで再会を喜びます。

会社が大量解雇を繰り返し、社内の雰囲気がどんどん悪化していた2年前、お母さんのアルツハイマー症状が進んで来たことが背中を押して、辞表を出した彼女。それからほぼ毎日、自宅とお母さんの家とを往復する生活だと聞いていたので、きっとすっかりやつれてるんだろうな、と覚悟していたのですが、ほとんど様子が変わっていませんでした。

「こうして友達と会って話すことが、私の元気の源なのよ。」

と笑うリサ。

「ここ2年の間に会社に起きた変化はすごいよ。どれだけ沢山の人が退社したか、聞いてる?」

「ええ、聞いてるわ。ほんとに大変みたいね。」

「ま、僕はそんな中でも楽しくやってるんだけどね。」

それから暫く話すうち、リサの少し前に辞職した、彼女の上司だったエリックの話題になりました。

「彼、新しい会社でパサデナ支社の開設を任されて、半年で実現させちゃったの。とっても張り切ってるわ。」

「あの人は若いのに、才能も人望もすごいよね。」

「希少な人材よね。」

そう、エリックみたいな優秀な社員を失った背景には、組織の巨大化とともに硬直化する指揮系統の問題がありました。

「自分の部下たちを守る権限さえ失くしたんだもの。やってられないわよね。」

「大企業病って奴だよね。」

それで思い出したのが、先日うちのチームに起きた、ある事件です。我々の専門であるプロジェクト・コントロールは、煎じ詰めればサービス業。社内のPM達が仕事をしやすいように情報を集め、分析し、分かりやすい形にしてお届けする。チームメンバーの業績評価は顧客であるPM達からの声を聞かないと出来ないだろう、という考えから、アンケートを取ることにしたのです。無料オンライン・サービスのSurvey Monkey を使い、三つの質問を作りました。

「サービスのクオリティは?」
「期日を守れているか?」
「受けたサービスに対してコストは高すぎないか?」

チーム・ミーティングにかけたところ、満場一致でこのアンケートを実施することになりました。ところが、後日人事部から待ったがかかります。

「会社のお墨付きが無いアンケートの結果をベースに業績評価をした結果、給料に不満を持つ社員がこれに抗議するかもしれない。うちのグループだけこんなことをやって不公平だ、と訴えられたらどうする?カリフォルニアは訴訟の多いことで有名な州だということを忘れるな。」

そんなわけで、アンケートは業績評価に使えないことになっちゃったのです。これを聞いたリサが、あきれ返ったような顔で、

“Eric would have a cow!”
「エリックなら牛をhaveするでしょうね!」

と反応しました。

ええっ?牛?と思ったけど、会社の変わりようを語るエピソードの在庫がまだまだあったので、ここは突っ込まずに先へ進みました。しかし別のエピソードを紹介した時、またしても

“Eric would have a cow!”

とリサが言うので、ここは聞いておかねば、と話を止めました。

have a cow ってどういうこと?」

「エリックなら牛を飼うだろう」と直訳しても、全く意味が通じません。

「あ、それはね、Give birth to a cow(仔牛を産む)ってことよ。」

と笑って答えるリサ。なんじゃそりゃ?ますます意味が分からん。「エリックなら仔牛を産むでしょうね。」だって?

「つまり、エリックがそれを聞いたらUpset(取り乱す)でしょうね、ってことよ。」

「ちょっと待ってよ。仔牛を産むことと取り乱すことと、どんな関係があるの?」

「さあ、それは私にも説明出来ないわ。」

ええっ?そんなオチ?

翌日、サンディエゴ支社のコピールームで若手の同僚ジェイソンと会ったので、解説を求めました。

「自分の股から仔牛がどーんと出てくるところを想像してみてよ。そりゃ取り乱すでしょ。」

少しのけぞってO脚になり、股から両手で仔牛を取り上げるジェスチャーをしたところへ、同僚のリタが入って来ました。ちょっとうろたえるジェイソン。

「おはようリタ、Have a cowって表現知ってる?」

と取ってつけたような質問をする彼に、

「知らない。」

と素っ気なく答えて背を向け、コピーを取り始めるリタ。想像上の仔牛を両手で抱えたまま当惑するジェイソンに、お礼を言って立ち去る私でした。